ヴォーカルなど、メインとなるトラックを最初に仮で録音すること。レコーディングは一般的に、ドラムのようなリズム系楽器→最後に歌という順番で行われる。そのため楽器を録音する際、仮録りの音をガイドとして聞くことで、スムーズに演奏ができるのだ。逆に仮録りをせず、楽器や歌すべてを一緒に録ることは「一発録り」と呼ばれ、ライヴ感が出るのが特徴。
レコーディングスタジオは、演奏を行う「録音スタジオ」と音を調整する「調整室」の2つに分かれる。録音スタジオの中にいても調整室とやり取りがしやすいよう、透明な防音ガラスで隔てられていることが多い。そこで水槽を連想して日本でこの名がついたよう。しかし、ガラスは音を反響させるため録音に適さず、近頃金魚鉢は減りつつあるよう。
パート別に録音したたくさんのトラックを、LとRの2つのスピーカーで再生するために2つのトラックにまとめる作業。「ミックスダウン」「トラックダウン」とも呼ばれる。例えばギターの音を右側から聴こえるようにしたり、それを左へ流れていくようにしたり、立体感を与える作業もココで行う。落としによって、曲のイメージが大きく変わるのだ。
「完全パッケージ」の略語で、要は完成品という意味。すべての演奏を録音し、マスタリングが完了した時点のものをこう呼ぶのだが、納品業者の間ではジャケット印刷やケースの包装などがすべて終了した段階、つまり販売できる状態のCDを指すことも。ほかの業界でもよく使われる言葉で、映像ではすぐに放送できる状態の番組をいう。
レコーディングの際、曲の途中で演奏をミスしたり、歌詞を間違えたりしたとき、最初から録音し直していたら時間がかかってしまう。そこで使われているのが「パンチイン」。ミスした部分だけ演奏して部分的に差し替える録音方法だ。また、その部分の録音が終了することを「パンチアウト」という。
ミックスダウンが完了した曲を、CDのように製品として完成させることを指す。曲ごとにバラつきが出ないように音量を揃えたり、迫力を出したりして、楽曲全体を聴きやすくする調整する作業のことだ。ちょっと意外かもしれないが、収録曲をどういう順番にするかや、曲と曲との間を何秒空けるかなども、ココで決める。
「プリプロダクション」の略語。映像や音楽業界で用いられる言葉で、本番前の下書き的な作業を指す。音楽制作では、ここでレコーディング前のアイデアやデモテープといった発展途上の段階から完成形へ煮詰めていく。曲のテンポやキーを決めたり、アレンジの確認をしたり、さらに、この段階で簡易的なレコーディングをすることもある。
例えば「ギターの音が強すぎてヴォーカルが聞こえない」という状態のとき、「ギターとヴォーカルがぶつかっている」などと言われる。また、不安定な感じを与える和音を意味する不協和音を指すこともある。単に演奏ミス・・・なんてこともなきにしもあらずだが、強い緊張感を生み出すために、あえて演出として組み込むことも多い。
以前放送されていた某有名歌番組を想像する人も多いかもしれないが、漢字で書くと「歌伴」。文字通り、歌のバックで演奏されている伴奏のことである。レコーディングに限らず、ライヴやコンサートなど、音楽業界では一般的な言葉。歌伴でなにより大事なのは、しゃしゃり出ることなく、歌の内容を理解して歌い手を引き立たせることなのだ。
ほかに「ポッピングガード」「ポップスクリーン」などの呼び名がある。例えばタ行やパ行を発音するとき、時々ボコッという雑音が入ってしまう。そんな時に役立つのがこの道具。マイクに直接強い息が吹きかかることを防ぐ役割をしている。ウインドスクリーンには、有名ミュージシャンたちのツバが・・・なんてこともあるかも!?