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今回紹介するアーティストはIU。彼女に関しては、韓国ではアイドル視されているところがあるため、日本でもアイドルとしてK-POPファンから注目されている嫌いがある。しかし、彼女は中学3年生だった2008年9月のデビュー当時から、その歌の実力が高く評価され、アイドルブーム全盛の韓国音楽界で、元気のなかったソロシンガー・ムーブメントを活性化させるだろうと大きな期待を背負わされたことは言うまでもない。デビューミニアルバム『Lost and Found』に収録されていた「Lost Child(미아)」を聴いた時は、度肝を抜かれてしまったことを覚えている。中学3年生の女の子から一体どうやってこの表現力が生まれるのか…。
しかし、デビューと当時にスター街道を一気に歩んだわけではなく、本人曰く「静かな湖のような」反応だった。そんな彼女の人気に火が付いたきっかけは、2010年6月に人気ヴォーカルグループ2AMのスロンとデュエットした「小言(잔소리)」の人気。Brown Eyed Girlsなどを手がけてきた韓国を代表するヒットメーカーイ・ミンスが手がけたこの曲は、IUの持つ少女らしさが巧みに表現されたメロディで、彼女の良さを十二分に引き出したという高い評価を受け大ヒット。その後もバラード界の皇太子ソン・シギョンと「あなたですね(그대네요)」をヒットさせ、ベテラン男性シンガーがデュエットしたい女性歌手でNo.1に選ばれるなど、同業の歌手の間でも高い評価を獲得。そういった中で、その年の12月に発表したミニアルバム『Real』からタイトル曲の「Good Day(좋은 날)」が記録的な大ヒットとなり、アイドル一辺倒だった韓国音楽界に風穴を開け、2011年をソロシンガーの年にしてしまうほどの人気を獲得。あどけなさが残るその姿から繰り出される力強さと繊細さを兼ね備えたその声は、多くの韓国の人々を魅了し、年齢性別問わない人気を獲得。その国民的人気からいつしか“国民の妹”と呼ばれるようになった。
2010年と言えば、KARAの人気から火が付いたK-POPが日本で注目を集めた年。当然、これだけの人気を得ていた訳で、2011年に日本進出という選択肢がなかったわけではないだろう。しかし、アイドルグループばかりに席巻され、より幅広い選択肢からK-POPの魅力を知ろうとする人々の動きを察知するかのように、満を持して、2012年3月に韓国での大ヒット曲「Good Day」の(Japanese Version)で日本デビューを果した。それに先駆け、東京・渋谷のオーチャード・ホールで、オーケストラをバックに堂々とその歌声を披露。まさに魅せるK-POPの時代から聴かせるK-POPの時代へと、その移り変わりを予見させるステージを披露し、K-POPファンのみならず、幅広いファンをここ日本でも獲得したIU。
そんな彼女が、韓国で20歳(数え年)を迎えた今年、ミニアルバム『二十歳の春』を発表し、シンガーソングライターとしても頭角を現した。さらに、日本デビューシングル「Good Day」に通じるサウンドが魅力的なニューシングル「You & I」も発表。少女から大人の女性へ、さらに国民のアイドルからシンガーソングライターへと成長著しい、そんなIUの魅力に迫ってみた。
― 韓国では数え年で20歳になりました。大人になったなぁっていう感覚はありますか?
IU:あります(笑)。ちょっと・・・。恋愛とか・・・きれいな服が心に入ってきます。もともとは楽な服を着ることが多かったのですが、最近は、ちょっとセクシーな服、体にぴったりな服に関心があります。これまではゆったりとした服が良かったんですけど。女性らしいでしょ? 恋愛も、今まで関心ありませんでしたが、最近、ちょっと関心あります。大人でしょ? (笑)。
― 現在韓国国内で初のコンサートツアーを行っていますよね? 大人気になっていますが、このツアーでは、先に行われた日本でのショーケースライヴ(東京・渋谷のオーチャード・ホールで開催)や今回の全国キャンペーンでの経験は役に立っていますか?
IU:やっぱり日本でのショーケースでの経験は本当に役に立ちました。初めてのコンサートで緊張したけど、あの時の経験を想い出して、いろいろイメージしてその緊張を乗り越えました。難しいところは、全国全ての会場に来てくれるファンの皆さんがいるので、同じことをすると、そんなファンの期待に応えられないと思って、毎回少しずつ変えようと思って、一生懸命頑張っています。こうして日本に来ている時も、朝からギターの練習をしています。ファンの皆さんの期待に応えられるように、最後まで頑張ります。
― 韓国では5月に『20歳の春』というミニアルバムを発表しましたが、シンガーソングライター、IUの可能性を感じさせるアルバムに仕上がっていましたね。この作品、そもそもどんなコンセプトだったんですか?
IU:“20歳の春”という感じ(笑)。私もただ、音楽と遊ぶ感じで作っていった作品だったんです。遊ぶと言っても適当に作るという意味ではなくって、このアルバムを作るにあたって、プレッシャーが全然なかったということです。つまり、このアルバムを売るために作るということではなく、ただ、ファンの皆さんにプレゼントを贈りたいという気持ちで作った作品です。ですから、プロモーション活動はありませんでしたから、そういったプレッシャーのない中で、純粋に今の気持ちを表現した作品といえばいいでしょうか。
― 以前から作詞・作曲活動も行っているということでしたが、その時は、事務所から作ってみたらという話があって、作業に取り組む・・・みたな話がありましたよね。今回の作品では、オリジナル曲(「桃(복숭아)」)が収録されていますけど、この作品はどのような感じで作られたんですか? 作家性の鱗片を感じさせる曲でしたが・・・。
IU:今年に入ってから、時間がある時に合間を見て、少しずつ作っていきました。でも、曲作りにあたっては、それほど時間はかかりませんでした。「桃」は、かなり早いペースで完成させました。
― 「桃」はギターで作った感じですか?
IU:そうですね。「桃」は、私が一番好きな果物。味、色、香りとか・・・全部心に入ってきます(笑)。「桃」が果物の中でやっぱり最高です。曲作りは、約1週間ですね。大きなアレンジもなく、シンプルにギターで聴かせる1曲です。
― 今も、曲作りは?
IU:はい、しています。今度は、ジャズとかボサノバのような雰囲気の曲を作ろうと努力しています。あたらしいIUの雰囲気を作りたくて・・・。
― このミュージック・ビデオも凄かったですね。短編音楽映画という感じでしょうか。イタリアのべニスを舞台に撮影されたドキュメンタリーのような作品でしたが、非常に私的なIUが観られる、そして、IUの感性や内面を音楽とともに表現していくという、面白い作品に仕上がっていましたね。
IU:イタリアは、初めて行きましたが、本当に魅力的なところでした。5日ほど滞在しました。今回の作品は、フェイク・ドキュメンタリーという手法を使って撮影された作品、イ・ジウン(彼女の本名)とIUのギャップを埋めていくような作品だったと思います。どこかでイ・ジウンという女の子の姿をこっそり観ているような・・・そんな作品です。私が思うには、私の本当にかわいい顔で納められたと思いますから(笑)、その辺りを日本のファンのみなさんにも観てもらいたいですね。
(後編は7月20日公開(予定))