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松崎しげる NEW アルバム『私の歌〜リスペクト〜』リリース記念特集

INTERVEW

個性的なルックスとキャラクターで老若男女に愛される松崎しげるが、デビュー45周年記念アルバム『私の歌〜リスペクト〜』をリリース! バラエティに富んだ13曲もの日本の名曲に込められた想いとは? 尾崎紀世彦や坂本 九ら、レジェントと称される先輩アーティストたちとの思い出や、ヴォーカリスト・松崎しげるの信念について、mu-moショップのために熱く語った1時間の模様をお伝えします。

『私の歌〜リスペクト〜』松崎しげるセフルライナーノーツはこちら

>デビュー45周年おめでとうございます。昨今カヴァー・ブームと言われていますが、あえて45年の節目にオリジナルではなくカヴァー・アルバムを発表しようと思われた理由をお聞かせください。
松崎しげる インタビュー ソロ歌手になったのが1970年で45年。その前にはバンドもやってたから47年も芸能界にいることになるんだけど。その節目に何をやろうかなって考えた時、一番最初にぱっと思いついたのが尾崎紀世彦さん。キヨさんは自分がバンドをやってた頃からの長いお付き合いで、大ヒット曲もたくさんあって…。だから2012年に亡くなってから、キヨさんの曲を歌っている人が少ない事が気になってて。だったら俺が歌いたいなと。追悼の意味も込められるしね。その他にも自分が携わってきた思い出の曲、後世に残しておきたい日本の曲を改めて歌いたいと思ったのがきっかけかな。 全13曲、自分自身も曲の中から勇気をもらえるとか、音楽やってきて良かったなって想いが含まれた選曲になったかと。まだまだ歌いたい曲はたくさんあるんだけど、今回はこのチョイスの1枚になったということで。

>『私の歌〜リスペクト〜』には新旧の日本の名曲が収録されていますが、「私の歌」だけはセルフ・カヴァーなんですね。
この曲は今回のアルバムを作るにあたって「愛のメモリー」以上に入れたいと思った曲で。青春時代に船出してずっと航海してきてようやくどこかに着きそうっていうか。やっと島が見えてきている感じが45年目にして出てきた気がするんだよね。
「愛のメモリー」は自分の代表曲だし、多くの人に愛してもらって今までいろんなアルバムに入れてきて。しまいにはメガボリュームシングルなんて銘打って14曲も「愛のメモリー」ばっかり入ったアルバム(2012年発売『愛のメモリー 35th Anniversary Edition』)も出したからね。もう今回はいいかなと(笑)。

>今回の「私の歌」からは生涯を歌に捧げる、という覚悟のようなものが伝わってきました。
松崎しげる インタビュー そうだね。どの曲にも言えるんだけど、歌う前から死ぬまでマイクを離さないぞという意気込みで歌ってます。歌は俺の栄養源。音楽自体が自分を動かしてくれる。ステージで歌うことが一番のライフワークだから、それを失ったら自分じゃなくなっちゃうと思う。
最近、同級生…テリー伊藤や6代目 三遊亭円楽やガッツ石松は別として(笑)。自分の周りの同級生をみると皆どんどん小さくなっているというか、元気がないんだよね。そういう人たちに「マツ、お前と会うとホント元気になるよ」って言われると嬉しくなる。だから同じ年代の人たちが俺を見て「あいつが頑張っているんだから俺も頑張らなきゃな」って思ってもらえるようにやっていきたいなと。「もう歳だし」って小さく構えていたら元気がなくて老けて見えるでしょ。だったら、もうちょっと自分のフレームから飛び出るようなことをしてみたらどう? って。歌でも同じで。レコーディングも普段「こうあるべき」っていう凝り固まったところでやっている現場が多いんだけど、自分はリハーサルのときからレッドゾーンギリギリっていうか、自分の限界点を知ることから始めるのね。その枠を外すことで新しい自分が見つかるし、面白いものができると思うんだ。

>どの曲もアレンジが個性的でしたが、どんな編曲になっても歌詞がはっきりと聞こえてくるのには驚きました。その辺りの力加減というのは?
自分はヴォーカリストなんでね。聴いている人の目の前で歌詞が聞こえるのが大切だと思ってて。最近、ヴォーカルはオーケストラの中のインナーみたいな、歌詞が聞き取りにくいのが逆にカッコイイっていう風潮になってるでしょ。それもわかるんだけど、ヴォーカリストとしては歌詞が一言一句、聴いている人に伝わるように仕上げるのがポリシーだよね。

>このアルバムを引っさげて、9月6日(日)には初の自主フェス“黒フェス〜白黒歌合戦〜”が開催されますね。
松崎しげる インタビュー 毎年、日比谷野外音楽堂でイベントをやってたのね。だから今年は45周年ってことでやるのかなと思っていたら、スタッフが「9月6日…“クロの日”ってことで何か大きなことやりませんか」って話を持ってきて。 俺はてっきりワンマンだと思ったんだよ。ワンマン・ライヴしかやったことないからね。それが「せっかくですから、みんな呼んでやりましょう」って言うから、誰が来るんだって聞いたら「松崎さんがやるんだったら、ももクロは来るみたいですよ」って。 だったら西田敏行も呼ばなきゃいけないだろう。俺とあいつは無二の親友だし、六本木で俺が弾き語りやっているところにあいつがきて一緒にステージやって有名になったんだから。すぐに西田敏行に話を持って行ったら「松ちゃんがやるんだったら俺はどこでも行くよ〜」って即決してくれてね。 あいつが歌を歌うようになったのは俺と一緒に“二度と唄えない即興ソング”を六本木でずっと歌っていたからだし、それを見たテレビのプロデューサーが初のレギュラー番組(TBS系『ハッスル銀座』1975年)をくれて。そこがお互いの始まりだもんね。その翌年に、西田は森繁久彌にアドリブを返せる男だって有名になって。俺は「愛のメモリー」がグリコ アーモンドチョコレートのCMソングになって、スペインのマジョルカ音楽祭で最優秀歌唱賞をとって。さらにレコード大賞、紅白歌合戦…。めちゃくちゃ忙しくてあの頃は朝から晩までいつも一緒だったね。今でも一緒に飲むんだけど、今回また同じステージに立って何ができるかすごく楽しみだよ。もちろん、他の出演者とも共演するかもしれないね。ギター一本あればどんな歌だって歌えるんだし。まだどんな形になるかはわからないけど、きっとスゴイことにはなると思うよ。

>最後に、mu-moショップのユーザーにひと言お願いします。
松崎しげる インタビュー 「経験こそ宝」っていう座右の銘があるんだけど。親父に言われて今でも大切にしているのが、経験することによって、良いこと悪いことは別にして何でも熱く人に語れるようになるんだと。人に聞いたり本で読んだことはそんなに熱く語れないけど、自分で飛行機を操縦したり、スキューバやったりしたら人に熱く語れる。だから、何でもいいから皆にはどんどん経験して、その中から一番自分に合っているもの、自分がコレだって思えるものを探してほしいね。あと、この歳になるとね、気力がなくなるとダメなのよ。松崎にとっては気力・体力・喉の強さが男の三原則! これからも一緒に熱く頑張りましょう!!

RELEASE

『私の歌 〜リスペクト〜』 ソロデビュー45周年記念アルバム『私の歌 〜リスペクト〜』2015.6.10 RELEASE!
ソロデビュー45周年、歌に人生を捧げてきた“松崎しげる”が選んだ熱く唄い上げる名曲を集めた珠玉のカヴァーアルバム。

価格:¥3,000(税込) BUY NOW

  • 01.また逢う日まで (原曲:尾崎紀世彦)

    08.夢で逢えたら (原曲:大瀧詠一)

  • 02.木蘭の涙 (原曲:スターダストレビュー)

    09.愛は時を越えて (原曲:大橋純子)

  • 03.ありがとう (原曲:いきものがかり)

    10.駅 (発売年1987年 原曲:竹内まりや)

  • 04.ロング・バージョン (原曲:稲垣潤一)

    11.見上げてごらん夜の星を (原曲:坂本九)

  • 05.ルビーの指環 (原曲:寺尾聰)

    12.私の歌 (原曲:松崎しげる)

  • 06.Everything (原曲:MISIA)

     

  • 07.ハナミズキ (原曲:一青窈)

    Bonus Track.キミノアト (原曲:ももいろクローバーZ)

PRESENT

このページをご覧のmu-mo ID会員(登録無料)の方の中から、抽選で3名様に松崎しげる直筆!座右の銘「経験は宝」入りサイン色紙」をプレゼントいたします!!
松崎しげる プレセント
愛用の筆ペンで、座右の銘「経験は宝」を入れてくださったほか
「松崎しげる」の千社札も貼られた特別な1枚です!

応募締め切り:2015年6月30日(火)23:59まで

※当選結果は発送をもって代えさせていただきます。
※当落に関するお問い合わせにはお答えいたしかねますので、
あらかじめご了承ください。
応募する


INFORMATION

6/10発売松崎しげるNew Album『私の歌〜リスペクト〜』
発売記念リリースイベント決定!


詳細はこちらから!

「9月6日松崎しげる デビュー45周年『黒フェス』〜白黒歌合戦〜」を開催!

『黒フェス』〜白黒歌合戦〜

日時:2015年9月6日(日) ※黒の日(自称)
開場 14:00 / 開演 15:00
閉演 19:00
会場:幕張メッセ 展示ホール

参加アーティスト:出演者 松崎しげる他
松崎しげるに縁のあるタレントの皆様共演して頂けるアーティストの皆様

オフィシャルサイト http://kurofes.net/


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linernotes

1. また逢う日まで(尾崎紀世彦)
大ヒット曲であり、レコード大賞であり、この曲に関してはものすごくインパクトがありすぎてね。出だしのパッパッパパ〜パパッ!ドンッ!ってフレーズがあるでしょ。まずそれを壊すところから始めたの。原曲に近いカヴァーもいいんだけど、時代が変わって何十年も経った、この曲の新たな生まれ変わりを見せたかったから、出だしはあえてシンプルに。追悼の気持ちも込めてね。あと、途中から昔のサウンドに戻そうとは最初から思ってました。自分もやってみて、やっぱりコレなんだよな〜って胸に落ちたしね。聴く人もきっと、あの時代を知る人はそう思ってもらえるんじゃないかな。それとこの曲に関しては、レコーディングしながらキヨさんが「マツ、お前相変わらず元気いいなあ」なんて言いながら、スッと入ってくるような感覚がしたね。「俺のキーより半音高いじゃねえかよ!」って(笑)。そう、実はキヨさんよりヴォーカルが半音高くアレンジしてあるのよ。

2. 木蘭の涙(スターダスト・レビュー)
オリジナルはピアノ伴奏だけのシンプルなアレンジで、根本くんがドラマティックな歌詞をすごいハイトーンで歌うっていう構成で。でも真似したらコピーになっちゃうから、松崎らしいカヴァーにしたいとオーケストラを入れることにしたの。松崎=フルオーケストラってイメージがあるからね。最終的にはピアノ+ストリングスになったんだけど、どうしてもキーが高いからドラマティックな仕上がりになっちゃった。でも同じドラマティックでも、根本くんとは正反対な印象の楽曲になったと思うよ。

逆にオリジナルで歌っている人に「自分もこのアレンジで歌ってみたい」「そのカラオケ僕にも使わせてもらえないですか?」って言ってもらいたいよね。原曲歌った人が「この中で僕が歌ったら松崎とは全く違った魅力が出るんだろうな」って思ってもらえる仕上がりになってたら歌ったかいもあるし。アレンジャーもアレンジのしがいがあるよね。

3. ありがとう(いきものがかり)
最近のアーティストで何か良い曲はないかなって探していたら見つけたの。吉岡聖恵の歌声ってさわやかで、キュートで、ふんわりしててね。これはいいなあと思って自分で歌ってみたのを聴いたんだけど、俺が歌うとちっともさわやかじゃなくて暑苦しいんだよ。ガツンと歌っちゃってて(笑)。でもこの対比がアーティストの個性が出てて逆に面白いじゃないかと。男性女性のヴォーカリストで感性の違いもあるしね。その中で自分らしさを徹底できたんじゃないかな。

4. ロングバージョン(稲垣潤一)
自分が65年間で経験してきたことが、この歌詞を読んでまさに自分だって思えたね。オリジナルからは、男の色気っていうか、稲垣くんのさらっとしたインドアな好青年の雰囲気がする。でも俺の歌声からは、男と女の関係はもっとドロドロしていて一筋縄ではいかないのよっていうのがにじみ出ているよね。

5. ルビーの指輪(寺尾 聡)
この曲すごく好きでね。アマチュアの時から寺尾さんのバンドを見ていたし、デビューしてからは一緒に飲んだり、ゴルフしたりでお付き合いさせていただいて。行くとこ行くとこで音楽談義に花が咲く。そんな先輩なのね。だから「今回のアルバムでカヴァーするんですけど、どうやって歌えばいいかわからないんです」って連絡したら、「いいじゃん、お前のヴァージョンなんだから好きに歌えよ!」って言われたから、じゃあってことで徹底的に壊しちゃったのがコレ。最初はスウィングにしようと思ってたんだけど。だんだん変化して南米風なアレンジになっちゃった。男の子ってプラモデルでも何でも、作ったら一度壊してみたくなるんだよ。パーツをバラバラにするって作業が好きなんだね。今回はそれに似てたかな。組み立て直してみたらこんなのができちゃった! みたいな。ちなみに「ごめんなさい、思いっきり壊しちゃいました」って連絡したら、「気を使わなくていいよ! ゴキゲンじゃん!」ってメールが返ってきたよ(笑)。

6. Everything(MISIA)
この曲に関しては、歌い方に険がないように歌おうと心がけたね。だから頭出しの<すれ違う時の中で〜>の部分にはフィルイン(即興でコブシを入れたりする演奏法)を入れないでストレートに歌ってて。ヒット曲って不思議なもので、メロディ通りにまっすぐ歌っているのに、聴いている人はイメージでアレンジが入っているように聴こえたりする。だからなるべくR&Bのフィルインを入れないように、でも入れるところには入れてやると、全体的にさらっと聴こえるようになるんだね。 あとこの曲は、サビになるとそれまで以上の音域を出さなきゃいけない。大抵の人はココでファルセット(裏声)を使って歌うんだけど、俺はファルセットが嫌いでね。どうしても作り声になるのがダメで、全部実音で歌いたいっていうヴォーカリストとしてのポリシーがあるから頑張って歌って。だから完成した曲を周りに聴かせたら「松崎さん、これ全部、実音出てるんですね!」って驚かれるよ。 何と言っても、こういう素晴らしい曲と向かい合うのは勉強になるよね。歌いながら、MISIAはどんな想いでこの曲を歌っていたのかなって考えるだけで胸がいっぱいになる。この曲が来た時、彼女は「ああ、この曲に巡り会えて本当に良かった」って思っただろうなあって。いま日本のミュージックシーンからは外国曲に負けないような作品がどんどん生まれているけど、これはその中の一曲。世界に出してもおかしくないメロディラインとヴォーカルの醍醐味が味わえる曲だと思う。日本を代表できる良い曲なんじゃないかな。

7. ハナミズキ(一青 窈)
映画『ハナミズキ』(2010年の日本映画。出演:新垣結衣、生田斗真など)を見ちゃったのよ。で、エンドロールに流れるこの曲を聴いて、いいなあ、いいなあって、この曲を歌ってみたいなあって。でも、個人的にこういうぽつーんとした感覚の歌が好きなんだけど、一青窈が歌うのを聴いて、こういう詩の世界の中に自分は入っていけるだろうかって考えたりもしたのね。俺ってどちらかといえば現実的な男だから、何でもストレートにババーンと表現しちゃうでしょ。でもこの際だから、やってみたい曲は全部やってみようということで。こういう想像しながら歌っていく歌というのもステキだなと思いながら歌ってみました。

8. 夢で逢えたら(大滝詠一)
この曲と初めて出会ったのは47年前くらいかな? 一番最初にこの曲を歌った吉田美奈子さんの歌で聴いて「これはイイなあ」って思っていたの。そのままずっと頭の片隅に残っていて、いつかカヴァーしてみたいなあと思っていたんだけど、ラッツ&スターとかいろんな人が歌ったりして、なんか出るに出れなくなっちゃったというか。発表するタイミングを見失っていたのね。でも45周年の記念アルバムだし自分がやりたい曲をやろうってことで、今回歌いたい曲リストの60曲くらいある最後の方にコッソリ入れておいたら、若い奴らが見つけて「コレ入れましょうよ!」って推してくれてね。個人的に今回は入らないかもって思っていたから嬉しかったよ。

9. 愛は時を越えて(大橋純子)
大橋純子とはいつもジョイント・ライヴをやらせてもらってて。じゅんぺーはデビューの頃からよく知ってる友達なのよ。いつだったか若い時に「この曲、いいよなあ」って話したら、「歌詞が大きすぎて恥ずかしい」って言うんだよ。その時は「それなりの人生送ってきているのに何で?」って思ったんだけど、そういうものかと。それで、最近また彼女が歌うようになったのをステージで聴いて改めて良いなあって。女詞なんだけど、この世界で自分が目指して生きてきたところに通じるものがあるなと思って歌わせてもらいました。

10. 駅(竹内まりや)
アレンジャーに、この曲はフランス映画みたいな雰囲気がするから、そういう感じにしてほしいってオファーして。できあがりもアコーディオンの音色が入って全体的にヨーロッパ的な仕上がりになったと思う。聴いていると映像が見えてくる感じがしない? 竹内まりやの中では珍しく歌謡曲っぽい曲だよね。全然シティ・ポップしてないというか。それにこのメロディラインは日本人絶対好きだもん。音楽的に言うと一番歌が作りやすいっていわれる四度進行(基本的なコード進行のひとつ。4音ずつ上がりながら進んでいく)ね。ある時この曲を歌う機会があって、俺がラブ・ソングを歌うなら、こういう四度進行の曲が一番しっくりくるなって感じたのと、彼女のファンクラブで人気投票をやると必ず1位になるのがこの曲なんだって。すごく愛されている曲だから大事に歌いたいよね。

11. 見上げてごらん夜の星を(坂本 九)
坂本 九さんは一番かわいがってもらった先輩で。生前いつも「一緒に歌おう」ってステージに呼んでもらって。「俺が出ると自分がラクできるからじゃないですか?」って軽口叩くと、「こら(笑)!」なんて。自分のヒット曲を惜しげも無く一緒に歌おうって言ってくれる唯一の先輩だったね。震災直後にも「見上げてごらん夜の星を」や「上を向いて歩こう」を歌うと、皆がスッとその歌詞の世界に入れて、元気や希望が持てた。やっぱり偉大な先輩だよね…。 それとね。海外で仕事している人たちが泣きたくなったり心折れそうな時に、思わず口ずさむのも九さんの曲なんだって。優しいけど、どこか自分の気持ちを奮い立たせる。よし、もう一度頑張ろうって思い留まる事ができる曲なんだろうね。 今回収録した「見上げてごらん夜の星を」に関しては、数限りないアレンジが施されている曲で、自分自身クラシックのフルオーケストラをバックに歌わせてもらった事が何度かあるんだけど。今回はこれまでの経験を踏まえて、ファンタジーの世界…古きよきディズニー映画みたいな暖かくて優しい印象にしたかった。でもどんなに遠くにいても歌声が聴こえてくるようなイメージがあったから、低く深く歌うというより、一番高い声域でずっと声を張って歌っている、オーケストラの渦の中で自分が一番ハイトーンでずっと歌っているっていうイメージで作りました。

12. 私の歌(松崎しげる)
この曲を出した1976年頃、世界的に歌われていたフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」(ひとりの男の死期が近付く中、人生の選択を後悔せず自信を持っている様子を描いた歌)を歌ってみたかったんだけど。その当時の僕には背伸びしすぎてるっていうか、自分の人生を歌うにはまだまだガキだなって。だから自分の背丈にあった曲をってことで、友人の都倉俊一くんに「青春の『マイ・ウェイ』、俺なりの『マイ・ウェイ』を作ろう」とオファーしてできた曲なんだ。海が好きな事と、これから若者が船出をするイメージを掛けてね。最後には「お前も歌バカだからな」ってことで<たとえ嵐が来ようと 私には歌がある>って歌詞をつけてもらって。できあがったとき、完全に自分の「マイ・ウェイ」ができたんだなって感慨深かったね。

ボーナストラック.キミノアト(ももいろクローバーZ)
ももクロの5人はいっつも会うたびに「しげる、聴いて聴いて!」ってCD持って来るんだよね。「なんだよ、お前タメ口かよ!」って。俺65だよ? あいつら3人いたって俺の年にならないんだよ? でもね、なんか孫みたいですっごくかわいくてね。 今回のアルバムに入れる曲を一度通して聴いてみた時に「あー、あいつらの曲を何か一曲ボーナストラックで入れようかな」って口を滑らしたのがいけなかった(笑)。周りのスタッフが「ももクロを松崎しげるが…!? いいですね、それ!!」ってがぜん盛り上がっちゃって、引くに引けなくなっちゃった。それで改めてアルバムを聴き直したワケ。それで「コレは違うな、コレも違うな」って避けていった中で、「キミノアト」だけは俺の青春時代のバス停とか駅のホームを思い出して。この曲だったら行けるかもしれない、こうなったら自分なりにやってみようと。だから今回チャレンジしたのはこの曲くらいなんだよね(笑)。松崎しげるらしさを出すために、思い切ってイントロ無しで歌から入ろう! とか、いろいろ挑戦できたのが面白かったよ。そういえば、この前スタジオに行ったらももクロに会ってさ。「しげるー! やっぱり歌うんだって?」って喜んじゃって。今度できあがったのを持って行ってやんなきゃな。