3rdALBUM『四季彩-shikisai-』リリース記念特集 | 和楽器バンド、日本の四季を世界に歌う
3rdALBUM『四季彩-shikisai-』リリース記念特集 | 和楽器バンド、日本の四季を世界に歌う

ロングインタビュー

詩吟、和楽器、洋楽器が融合した唯一無二の存在感を誇るアーティスト、和楽器バンド。昨年は日本武道館公演をはじめ、NY単独公演、北米ツアーを開催し、海外でもその名を知らしめた。そして2017年3月22日、3rdアルバム『四季彩-shikisai-』をリリース。これまでの2作品よりも、前衛的かつ、新たな試みに挑戦したという今作について鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Guitar)、神永大輔(尺八)の3人に聞いてみた。

――新作の『四季彩-shikisai-』を聴かせていただきましたが、オープニングからラストまで、まるでライヴを観ているかのような流れとストーリー性を感じる1枚でした。

町屋 まさにそれを狙って作りました(笑)。1枚のアルバムを通して1本のライヴを観ているようなつくりにしようと。
鈴華 アルバムを作るときは最初にコンセプトを決めるんですが、今作ではライヴで生きるような楽曲を集めることを重視しました。理由は、メンバーで話し合うときに、活発にみんなの意見が出るのがライヴのセットリストを考えているときなんですよ。私たちはライヴパフォーマンスに自信があるバンドなので、その強みを凝縮した1枚にしたいと思って。
町屋 1st、2ndは勢いで押し切った部分もあったので、今回はミドルテンポやスローテンポの曲をいままでよりも多めに入れてメリハリをつけたんです。テンポが落ちると和楽器の音が引き立つので、これまで以上に和楽器が際立ったアルバムに仕上がっていますね。
神永 今作は前作よりも確実に違うものが生まれたと感じています。その中にはメンバーの成長もあるし、バンド全体のレイヤーが上がっていることもあるし。だから『四季彩-shikisai-』はどんなアルバムか、と聞かれたら「今の和楽器バンドのすべて」としかいいようがないですね。やってもやっても、まだまだやりたいことがありすぎて、毎回違うものが生まれるんです。
鈴華 本当にそう思う。アルバムを出す度に毎回、やり尽くしたと思うんですけど、また新しいことがすぐに生まれるんですよ。

――その新しいことのひとつに、今作ではいままで曲を書いたことのないメンバーが楽曲作りにチャレンジしていますね。

鈴華 山葵とべにが今回、初めて作詞作曲を担当しました。その中で唯一、曲を書いていないのが(神永)大さんですが(笑)。
神永 その言い方、やめて(笑)。
町屋 でも、アルバム用に書いていたんだよね。
神永 書いていたんですが、僕が曲を書くと、どうもゲーム音楽っぽくなっちゃって…(笑)。曲を書きたい気持ちはあるんだけど、それよりも音楽の中に尺八が入ったときに、どう広げられるかを考えるほうが好きで。

――アルバムに収録されている「MOON SHINE」は神永さんの尺八と町屋さんのギターセッションがものすごくカッコイイ曲ですよね。

町屋 「MOON SHINE」は黒流さんが曲を作ったんですが、いままであまりやってこなかったシャッフル系の曲を作ろうとみんなで話し合って作りました。
神永 黒流さんに言われたのは「普段はヨボヨボのおじいさんなんだけど、尺八を吹くと突然カッコよくなる“達人感”を出してくれ」と言われまして(笑)。だから、決め打ちで吹くのではなく、軽さを出してセッションするような感覚を重視しました。そうするとジャジーな雰囲気が出てきていままでにない楽曲が生まれて…。
鈴華 それが楽しいんですよね。常に発見があるというか。
神永 そうそう! 「尺八はこうあるもの」と決められたものがないから和楽器バンドはおもしろいんです。
鈴華 少しアルバムの話からそれますけど、和楽器バンドは私が尊敬していてファンである音楽家の人たちに声をかけて集めたバンドでもあるので、それぞれの個性を殺さないことが一番大事だと思っているんです。リーダーの私が「これをやれ」と押し付けをしたら、このバンドの意味がない。とはいえ、まっちーと大さんを会わせたときは“大丈夫かな”とは思ったけれど。見た目から真逆だし(笑)。
神永 坊主とロン毛だし(笑)。
町屋 いままでまったく別の世界で音楽をやっていた2人だからね(笑)。ゆう子ちゃんがいなければ、きっと出会えなかった。

――そこが和楽器バンドのおもしろいところですよね。メンバーそれぞれ、楽器や音楽に携わっていた環境がまったく違うのに、作品になると個性が出ながらもまとまっている。

鈴華 それが、改めて分かったのは今作のアルバムジャケットを作るときなんですよ。

――『四季彩-shikisai-』というタイトルにしては、トーンが抑えられたジャケットですよね。

鈴華 でも、メンバー全員の『四季彩-shikisai-』のイメージがあのカラーだったんですよ。不思議とみんな『四季彩-shikisai-』を彩り豊かなカラーではなくて、優しさに包まれるような淡い色どりを思い描いていて。
町屋 僕たちがイメージする『四季彩-shikisai-』は彩度やコントラストが高いものではないんです。和楽器バンドのイメージは音だけではなく、色やデザインに関してもメンバー同士共通認識があるんですよ。それは合宿をしたときも強く感じましたね。

――昨年1月に北海道で合宿をしたそうですね。

神永 メンバー全員で10日間、寝食を共にしました。ここまでずっと一緒にいたのは初めての経験で。

――ここだけの話、個性のある8名が10日間も一緒にいて、ケンカはしなかったですか?

町屋 それがまったく。少しはケンカをしたほうが自然なはずなのに、不自然なくらいなかった。
鈴華 毎晩、みんなでゲームしてたよね。昼間、散々一緒に仕事しているのに、夜になるとまた集まるっていう(笑)。
神永 でも、この合宿の経験がアルバムを作るうえでもすごく生きていて。合宿ではメンバーそれぞれが得意・不得意分野を把握して、得意な人が不得意な人に教えるという講座を開いたんです。
鈴華 まっちーはパソコンで音楽を作るのが得意だから、操作方法を教えたり、私はピアノでコードを伝えたり。
町屋 これまで曲を書いてこなかったメンバーには、頭の中にある音のイメージを書き起こす手段をパソコンを用いてどう表現するかなどを教えていました。そこからメンバー全員で作った曲を持ちよってアンサンブルを組み立てていくという初めての試みにもチャンレジしたし。その結果が今作に詰め込まれていますね。
鈴華 まっちーは合宿で何が一番勉強になった?
町屋 僕、ずっと音楽しかやってこなかったから、あまり人と遊ぶこともなかったんですよ。だから大人数でゲームするなんて、ほぼ初めての経験で。それがすごく楽しかった(笑)。

――4月22日(土)からは初のホールツアー“和楽器バンド HALL TOUR 2017 四季ノ彩 -Shiki no Irodori-”が始まりますが、意気込みを教えてください。

町屋 これまではライヴハウスツアーが多く、ライヴハウスはある程度、雰囲気ができているのでその中で僕たちがどう立ち回るかがポイントでしたけど、ホールになると会場は色をあまり持っていません。だからこそ、その中で和楽器バンドがどう色付けしていくかは、僕たちの発想力にかかっていると思います。今、お客様がどんなライヴを求めているかを敏感に感じ取りながら、僕たちの発想力でそのオーダーに答えたいですね。
神永 ライヴ会場が大きくなるたびに勉強することがたくさんあります。ただ、武道館、東京体育館を経て確信したのは会場が広くてもライヴはライヴであるということ。僕たちプレイヤーがライヴという瞬間を楽しみ、そして大切にする気持ちで向かい合っていきたいと思っています。
鈴華 今回、Newアルバムをツアーの1ヵ月前に発売したことは大きな意味がありまして。最初に言った通り、コンセプトがライヴをイメージした1枚なので、ツアー前にアルバムを聴きこんでいただいて、実際にライヴで体感してほしいと思っています。私たち和楽器バンドにとってお客様は宝物。そんなお客様が喜んでいただけるようなエンタテイメントをお見せできればと! そして個人的には地元、茨城に行けるのが本当に嬉しい!!
神永 それは盛り上がるよね。
鈴華 もう、私のテンションがあがりまくっています。生まれ育った街で和楽器バンドのライヴができることは最高の喜びなので。もちろん、全国、最高のテンションでパフォーマンスをお届けします!