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【globe20周年】
小室哲哉が語る、歴史的ヒット曲が生まれたワケ。そして明かされる深層心理

1995年8月9日にデビューし、90年代〜00年代を駆け抜けた、小室哲哉〜KEIKO〜マーク・パンサーによる3人組モンスター・ユニット、globe。今年20周年を迎えたglobeを総括したムック本「globe 20TH ANNIVERSARY SPECIALISSUE 小室哲哉ぴあ globe編」〈ぴあMOOK〉が発売されているのをご存知だろうか?

注目したいのが、globeのオリジナル・アルバム収録楽曲 全128曲を、小室哲哉がはじめて全曲解説を試みた特集だ。当時の制作風景はもちろん、なぜあの時代に莫大なセールスを生んだヒット曲が生まれたかの理由、そして明かされる深層心理が興味深い。

気になった方は、あなたの自宅に眠ったCDアルバムを引っ張り出して聴きながら全曲解説を読むのはもちろん、mu-moショップ購入したり、話題の聴き放題型音楽配信サービス【AWA】にはglobeの全ての楽曲がアップされているので、あらためてglobeの軌跡をたどることをオススメしたい。globeの音楽がいかにオリジナリティにあふれていたかの発見→感動に出会えることだろう。これもまた、テクノロジーの進化が生み出した、音楽の新しい楽しみ方だ。

http://awa.fm/

【mu-moショップ】では、ムック本「小室哲哉ぴあ globe編」での、小室哲哉自身の発言による全曲解説からオススメ楽曲を3曲ピックアップ。ぜひ、globeの魅力を体感して欲しい。そして気になったら、アルバム全128曲を解説したムック本「小室哲哉ぴあ globe編」をぜひチェックしてみて欲しい。

Feel Like dance 作詞: 小室哲哉/作曲: 小室哲哉/編曲: 小室哲哉

 globeは大人が聴いても楽しめるユニットを意識しました。実際、マークとKEIKOの2人は20代で若かったんですけど、曲の世界観のイメージは大卒で就職して、その年の夏くらいの女性像・男性像みたいな。そんな世代感を表現しようと思っていました。とはいえ、2人とも音楽アーティストとしては新人だった。そんな意味では、TM NETWORKやTRFのデビューの状況とは違うんですね。でも、今みたいにSNSがあったワケではないので、謎めいてる感があったかもしれません。KEIKOの歌唱力もまだ未知数でした。後々にだんだんわかってくるんですけど、本人も自信満々でやってきたワケではないんですよね。何年かライヴハウスなどで活動したり、何かしらマイクのコツを掴んだりとか、そんな経験が一切ゼロのままデビューしたんです。なので、負担を軽くしたいという意味でも、この頃はメンバーのヴィジュアル的なイメージを強く打ち出さなかったんですよ。そんな状況を考えて、僕のソロパートも入れ込みました。イメージの分散ですね。曲的にも、僕の中にあるいろんなヒットの要素が詰まっている曲ですね。ある種、TRFっぽさもあったかもしれません。そこはフックとしてひとつの狙いでもありました。この曲はピアノでも弾きやすいナチュラルな曲なんですよね。

DEPARTURES 作詞: 小室哲哉/作曲: 小室哲哉/編曲: 小室哲哉

 もともとは、CMタイアップから生まれた15秒〜30秒の作品なんです。当時のCMタイアップの影響力って今と比べ物にならないほどに大きかったんですよ。なので、CMスタッフの人たちとの共同作業でもありました。まず絵を見てから作りました。1番最初は、雪の中を走っている新幹線の映像だけだったんですよ。でも、globeで決めていた登場人物の設定とCMの世界観がぴったりハマったんです。働いている恋人同士が苦労して休みをあわせて休暇をとるという。その限られた時間を、どう演出するかという物語性。でも、頭から終わりまで、1行1行世界観を統一していくのは大変でした。2人が楽してないという意味で。苦労しながらも、恋愛を育てていくという感じをあらわしたかったんです。なのでストーリーがあるわけではなく、コピーライターがキャッチコピーを1行ずつ書くような感じで歌詞をまとめていきました。なので、人によって1行だけでも気に入ってもらえたらよいなと。なので、それぞれ覚えている場所がみなさん違うと思うんですね。みんながここだっていうワードを分散させたかった狙いがあります。それがたくさんの方の心に残った理由だと思っています。いまでこそSNSでどんな箇所に共感してもらえたかという感想を直接届けてもらえる時代になりましたけど、それぞれの共感ポイントって1曲の中でもやっぱりバラバラなんですよ。なので、イントロが鳴った瞬間の感情も人それぞれなのかもしれません。頭のコードもポップスとしてはとても独特なんです。それまでにちょっとなかった曲だと思っています。たしか、CMの方がキーは高かったのかな。今でも、よくこの曲でそんなに枚数がいったなと思いますね。変わっている曲ということは間違いないので。ちなみに、アルバム・ヴァージョンで構成を変えたのは、アルバムの世界観になじむように、自然に流れていくように意識をしました。「DEPARTURES」がメインのアルバムという風にはしたくなかったので、曲順や構成にすごく苦労しましたね。結果、とても満足している楽曲です。

FACES PLACES 作詞: 小室哲哉・MARC/作曲: 小室哲哉/編曲: 小室哲哉

歌詞に出てくる年号(1970年、1981年、1984年、1994年、1997年)は僕自身の音楽人生に由来しているのですが、曲が一人歩きしてみんなの歌になってくれたことが嬉しいですね。女子ワールドカップのロッカールームで大儀見優季選手が歌ってくれたとかね。この曲は、ギターでコードを弾きながら作曲しました。自分の曲のなかでも、ベスト10に入るかもしれない。ちなみに完全に構成が洋楽なんですよ。向こうの人たちが好む展開というか。ちょっとした倉庫があれば、アンプとドラムを持ち込めば演奏できる環境が増えていくだろうなと思っていたのと、そのちょっと前からYOSHIKIやHIDEを筆頭にしたヴィジュアル系や、バンドブームが起きましたよね。あとTHE BLUE HEARTSとか。当時から、いずれ僕のプロデュース・ワークではなく、バンドでの盛り上がりは来るだろうなと思っていたので、そういう人たちも聴いて楽しんで欲しいなと思っていた曲なんです。「FACES PLACES」は、めちゃくちゃ思い入れがある人が多い曲なので、この曲に関しては、1時間くらい1曲で語れますよね。社会学者の古市憲寿くん周辺の人たちとかも、踏み込んでて、深いですからね。

以上、ヒットの現場からお届けしましたー。

次回は9月18日更新

ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
Yahoo!ニュース、J-WAVE、MTV81、ミュージック・マガジン、2.5D、音楽主義などで、書いたり喋ったり考えたり。……WEBサービスのスタートアップ、アーティストのプロデュースやプランニングなども手掛ける。著書『ソーシャルネットワーク革命がみるみるわかる本』(ダイヤモンド社)、DREAMS COME TRUEツアーパンフレットへの寄稿、TM NETWORKツアーパンフレット・シリーズ執筆。SMAPタブロイド新聞フライヤー執筆。メイン取材&100曲解説を担当した『小室哲哉ぴあ TM編&TK編』、4万字取材を担当した『氷室京介ぴあ』(ぴあ)発売中!
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