お芝居には「身分の高い役を向かって右に。逆に身分の低い役は左に」という約束事がある。一般的にエライ人が座る位置を表す“上座”の方向を意味する言葉「上手(かみて)」なら、聞いたことがあるのでは? 舞台の「上手」は、客席から見て右側のことで、左側は「下手」。役者たちは舞台上から見るので、左右が逆になる。
主にビニールテープが使われていることから、「バビる」とも。「場を見る」という言葉に由来しているとか、とあるテレビ局にバミさんという製作担当者がいて、その人の名前にちなんで・・・とか、いろんな説がある。テープがお客さんから見えないよう、舞台と同系色にしたり小さくしたりと、さまざまな工夫が凝らされているぞ。
略して「ゲネ」と呼ばれることが多い。ドイツ語の「Generalprobe」(ゲネラルプローベ)から来ていて、「総合的な稽古」という意味。役者だけでなく、照明や音響などすべてを本番通りに行う総仕上げ的なものだ。多くは関係者間で行われるが、格安でゲネプロを見られる公演もあるので、ネットで公開ゲネプロ情報を探してみては?
材木を削ったときに出る木くずのことを「こけら」と言い、劇場の新築や改装の際、最後にこのこけらを払い落としたことに由来している。こけら落としで行われる公演には大物俳優が登場することが多く、人気が高い。また、歌舞伎には古くから「こけら落としを見ると寿命が延びる」などという言い伝えもある。
「板」は劇場の床が木材であるという理由から舞台を意味し、はじめからそこに付いて登場することに由来している。逆に、役者が舞台袖でスタンバイすることを「陰板」と言うことも。また、仕事などに慣れてしっくりきていることを意味する「板に付く」という言葉は、役者がしっかり舞台に立っている様子から誕生したとか。
「ソワレ」とはフランス語で「夜会」、すなわち夜に行われる社交的な集まりを意味する言葉。転じて日本でも夜に行なわれる公演のことをソワレと呼ぶようになった。ちなみに昼公演は同じくフランス語から「マチネ」と呼ぶ。なぜフランス語を使っているのかは不明だが、もしかするとただカッコつけているだけ・・・なのかも!?
「プロンプ」は、セリフを映し出す装置を意味するプロンプターの略語。「プロンプする」のように使われる。本来、セリフ忘れは役者として許されないことだが、大役者でもたまにはあるという。そんなとき、ベテランならアドリブで乗り切ることもできる。しかし、経験の少ない若手ではそうもいかず、プロンプしてもらうのだ。
よく似た言葉が「リアクション」。これは文字通り相手役のセリフや動きへの反応を意味し、セリフを使ってもOKだ。一方、「レセプション」ではセリフの使用はNG。身振り手振りや表情だけで演じるので、役者には高い演技力が求められる。表現したい感情を客席隅々まで伝えるため、過剰なほど大きな動きで演じるのがコツ。
語源は舞台にかぶりつくよう観劇できるからという説や、歌舞伎で水を使う演目の際に水除けの被り物が配られたからという説などがあり、定かではない。役者たちの熱気がビンビン感じられる最前列は、舞台マニアには人気の席。ただ、近すぎるあまりに舞台を見上げる形になり、首が痛くなる・・・という欠点もある。
「香盤」は、もとは線香を立てるための四角いマス目状の台のこと。役者の名前やシーンを書いた舞台の進行表が、遠目には四角いマスが並んでいるように見えるため、こう呼ばれるようになった。テレビ局でもタレントの入り時間や出演タイミングなどが書かれた香盤表が使われており、芸能界ではおなじみのアイテムだ。