黒でベタッと塗りつぶすことから、この名が付いたと言われている。以前はアシスタントの代表的な仕事のひとつとされ、ベタ塗り専門のアシスタントのことを「ベタマン」と呼んでいた。単純作業と思われがちなベタ塗りも、うまい人がやれば立体感が出てしまうのだとか。しかし最近では、PCでパッと簡単にできるようになった。
マンガ家としてデビューするための一般的な方法は、出版社が主催するマンガ賞を取るか、作品を編集部に持ち込んで売り込むかのどちらか。ここで名刺をゲットして作品を見てもらえるようになれば、デビューに一歩近づける。持ち込みのとき、編集者にはやる気を見せることが重要だ。さもなければ、けんもほろろに作品を突き返されてしまうことも・・・。
またの名を「ラフ」「絵コンテ」。ストーリーをどう切り取るか構成力が問われ、この段階で作品のほとんどが決まるといっても過言ではない。多くのマンガ家さんが最も苦労しているポイントだ。ごくまれにネームなしで原稿を描く大御所もいるが、新人マンガ家はご法度! 編集者から間違いなくカミナリを落とされる。
「代理原稿」の略で、ダイゲンと読む。原稿が遅れて印刷に間に合わなくなることを「落ちる」といい、落ちてしまったときのために、編集部には数本の代原がストックしてあるそう。原稿が落ちるようなトンデモナイ事態には、みんなの夢を壊さないように「作者急病のため、今回は休ませていただきます」などとコメントが出ることも・・・。
そのシーンが持っている雰囲気に合わせて描き文字を入れることで、より一層印象的な場面に仕上げる効果がある。例えば、物がぶつかる場面の背景に「ドォォン!」と描けば、さらに迫力や臨場感がアップする。擬音語だけではなく、あえてキャラクターのセリフを描き文字にすることで、フキダシ内の文字活字とは一風違った印象を与えられる雰囲気になるのだ。
スクリーントーンは主に、モノクロのマンガの中で濃淡によって色を表現するために使われる。細かな水玉模様のアミトーンや濃度が段階的に印刷されたグラデトーンなど、その種類はさまざま。そのほか背景や効果線など、マンガ家が本来ペンで描かなければならなかったものも、現在はスクリーントーンとして販売されているのだ。
背景やリアルな人物画を描くときなどに用いられる技法。「トレーシングペーパー」と呼ばれる半透明の紙を使ったり、下から光を当てられるトレース台の上にのせたりして写し取る。マンガの基本的な技法で昔から行われてきているのだが、どんなにすごい作品でも、トレースしたことが分かった途端に「価値がない」などと言い出す人もいる。
英語で群衆を意味する「mob(モブ)」から来た言葉。モブシーンに出てくる特に設定のない人のことは「モブキャラクター」と呼ばれる。時間がかかる大変な作業であり、1人1人丁寧に描きこまれた作品には、マンガ家の愛と情熱が込められているのだ。有名作品のキャラをパロって紛れ込ませていることもあるので、よく探してみよう!
本を持ったとき、指がかかって絵やセリフが読めない恐れがあるので、重要な情報はハシラには入れないのが鉄則。少女マンガ雑誌などでは、左端4分の1スペースに広告が入る場合があるのだが、それもハシラと呼ばれる。だが最近は、「タチキリ」といって、迫力をつけるためにページの端まで絵を描く人も増えているようだ。
スクリーントーンが誕生する前、濃淡を表現するための代表的な技法がカケアミだった。今でも、ベタ塗りの代わりなどに使用される。線の太さを微妙に変えたり、幅をだんだん広くしたりすることでグラデーションになり、これを「カケグラ」と呼ぶ。コツコツと描き続けるしかなく、本当に気の遠くなるような時間のかかる作業だ。