“master of ceremonies(マスター・オブ・セレモニー)”の略語。司会者や、コンサートなどでの曲と曲の間のおしゃべりなどを意味する。転じて、HIPHOPの世界ではラッパーを指すようになった。司会者と区別して、“microphone controller(マイク・コントローラー)”の略語と解釈することも。
元々はジョークの最後にくるオチを指す言葉。パンチラインの良し悪しで、曲のできが決まると言えるだろう。例えば、Dragon Ashの楽曲『Grateful Days』に登場する「俺は東京生まれHIPHOP育ち/悪そうな奴は大体友達」というフレーズは、あまりにも有名なパンチライン。
“flow(フロウ)”とは歌い回しのことで、声の高さや強弱、速度に変化をつけて、曲を印象付ける。また、ラップの歌詞を“lyric(リリック)”と呼び、“rhyme(ライム)”はリリックで韻を踏むこと。フレーズの語尾を同じ音で終わらせるなどして、リズムを作り出す。2つのテクニックによって、初めてラップがラップたる楽曲となるのだ。
ただ単純に言葉を並べればいいというものではなく、ライム&フロウを意識しなければいけない。だから、相当の語い力と頭の回転の速さが求められる。そう、彼らはカッコいいだけじゃない、とても優秀な人たちなのだ! ちなみに、複数人で交代しながらフリースタイルでラップをし合うことを「サイファー」という。
“sell out(セルアウト)”は、直訳すると「売り切る」という意味。HIPHOPは、世の中に対して自己主張するための手段と考えられている。このため、売るために自分本来のスタイルを曲げるという姿勢は、中傷の対象になってしまう。テレビに出ることさえ賛否両論ある模様。
“school”には「学校」のほかに、流派・流儀という意味がある。1980年代末以降、歌詞が社会性や政治性を持つようになったり、ジャズなど他ジャンルの音楽を取り入れるようになった「ニュースクール」と区別して、こう呼ぶ。なお、日本では「ニュースクール」の全盛期を「ミドルスクール」と呼ぶことも。
「掘る」という意味の“Dig”に由来する。HIPHOPには名曲の一部を切り取って作曲する「サンプリング」という手法があり、このために過去のレコードを探すことを指す。既にできあがっている楽曲の元ネタが何かを調べたり、ただ単純によい曲を探し求めたりするときにも使う。
アメリカの大手ハンバーグチェーン店のキャッチフレーズが由来。”Where’s the beef!?”(=肉はどこ!?)と、ライバル店の小さな肉を皮肉った言葉が流行ったことから。必ずしも仲が悪いわけではなく、その場を盛り上げるためにわざとビーフを仕掛けることもあるようだ。
“ill(イル)”は「病気で」「気分が悪くて」という意味。日本語で言うと、例えば「ヤバイ」という本来ネガティブな意味をもつ言葉を、褒め言葉として使う用法と同じ。ほかに、“death”がなまった“def(デフ)”、麻薬を意味する“dope(ドープ)”も、それぞれノリがよくてイケてる、奥が深くてカッコいいという意味のスラング。
「〜を象徴する」という意味の“represent(レプリゼント)”を、日本人がなまった言葉で使っている模様。ただ代表するのではなく、その土地や団体を背負っているという、対象への強い思いが込められている。安易な気持ちで使うべからず、愛情をもって表現すべし!