夏フェスのシーズン到来である。今年は、多くの韓国人アーティストが参加することでも知られている“SUMMER SONIC 2012(2012年8月18日(土)・19日(日)東京会場:QVCマリンフィールド&幕張メッセ /大阪会場:舞洲サマーソニック大阪特設会場)”。そんなSUMMER SONICに昨年に引き続き2年連続で参加。昨年7月には、ASIAN KUNG-FU GENERATION主催の“NANO MUGEN CIRCUIT”にも出演し、日本のロックファンにもその名前が浸透し始めている、韓国の人気ロックバンド“THE KOXX(ザ・カックス)”。
2008年に結成し、数多くのライヴハウスでライヴを行い、韓国の新進気鋭のインディーレーベル、HAPPY ROBOTと契約。その後、韓国最大のインディーフェスティバル、“GRAND MINT FESTIVAL”などの大型フェスへの出演が続き、その本格的なエレクトロニカ・ガレージロックのサウンドを披露した高い音楽性に注目が集まり、1st EP『ENTER』を2010年にリリース。さらに、2011年には、1stフルアルバム『ACCESS OK』を発表。今年に入ってからは2nd EP『bon voyage』を発表し、いずれも韓国のインディーチャートで常に上位にランクインするなど、音楽関係者から一目置かれる存在に。そして、彼らのその派手なスタイルと個性的なビジュアルは、韓国で多くのファッション関連雑誌やアパレルブランドから注目され、「VogueKorea」や「Cracker」などのファッション雑誌でモデルを務めたほか、EGOIST、LACOSTE、FRED PERRYなどのブランドとのコラボレーションを実現するなど、音楽だけでなく、その存在自体も韓国インディーシーンの新たなるアイコンとして話題となっている。
かつて韓国のメロコア界の雄として日本でも活躍していた“GUMX(ガムエックス)”をはじめ、2009年に社会的シンドロームを巻き起こした歌謡ブルースの定義に成功した“チャン・ギハと顔たち”など、最近、韓国のロックバンドの日本進出や、日本のロックフェスへの出演が増えているが、年々洗練され、質的にも劇的に向上している韓国の“ロック”に、日本の音楽関係者も熱い視線を注ぎ始めている中、キーボードのショーン、ドラムのサロン、ヴォーカルのヒョンソン、ギターのスリュン、ベースのソンビンという個性豊かな5人が奏でる、近年の音楽トレンドの中心であるエレクトロニカベースのロックサウンドを通じて、“音楽に国境のない”ことを証明して見せようとしている5ピースバンド、THE KOXX。彼らの追い求めている“音”とは一体どんなものなのかを直接聞いてみた。
ヒョンソン:僕らは、2009年度に結成し、ソウルのホンデのライヴハウスを中心に活動してきました。そして、今の所属事務所と出会い、2010年にシングルがでて、そして、2011年6月にフルアルバムがリリースになりました。韓国ではいろんなライヴイベントに出演するなどして、活動しています。
ヒョンソン:THE KOXXの音楽は、なんといってもガレージサウンド・・・といえばいいでしょうか。デビューしてそれほど時間が経過しているわけではないので、今も“活動初期”と言えば初期ではありますが、シングル「ENTER」が発売されたころは、ガレージ性を見せる音楽を主体にやってきてたんですね。でも、フルアルバムの『ACCESS OK』からは、シンセサイザーの音を加えることで、音楽性に多様性が増したと思うんです。でも、シングルでのサウンドも、フルアルバムでのサウンドも演奏しているのはどちらもTHE KOXXですから、そのどちらもTHE KOXXの音であると言えると思います。
ヒョンソン:2011年のTHE KOXXのすべてが凝縮された作品になっています。去年は、メンバー同士で、かなり音楽やその方向性についていろいろと議論しましたし、辛いこともたくさんあったんですが、その中で、一生懸命作ったアルバムなので、僕らにとって“息子”のような存在と言えばいいでしょうか。なので、より多くの人に聞いてもらいたい作品ですね。
サロン:日本盤には、韓国のアルバムに収録されなかったボーナストラックも収録されているので、ちょっとお得に楽しんでもらえると思います。
ショーン:2011年5月までのTHE KOXXが、どんな思いで、どんな音楽をやろうと思っていたのかを表現したアルバムに仕上がっていると思います。ぜひ聴いてください。
スリュン:僕らが、その先頭を歩くことができればいいんですが・・・。でも、K-POPに続いて、韓国のバンドの音楽も世に知ってもらえる機会を得ることができたので、それについては、気分はいいです。そういう風潮に合わせて自分たちも一緒に頑張っていけるので・・・。昔は、紫雨林(ジャウリム)やGUMX以外、日本進出を果した韓国のロックバンドはほとんどいませんでしたから・・・。
ヒョンソン:一番の・・・そうですね、全盛期であることは間違いありません。 ショーン:でも、今も新人のバンドが次々と誕生していますし、インディーシーンに関心を持ってくれる人も増えていますから、これからもこのシーンは伸びを見せてくれると思います。
ヒョンソン:韓国ではこのようなステージに何度も出演していますが、日本では当然初めての経験で、観客の反応の違いも感じられましたし、その雰囲気から学んだものも大きかったです。真剣に音楽と向き合ってくれている・・・という感じでしょうか。でも、基本的には、どの国のどのステージに立っても変わらない自分たちの音楽を表現するだけだと思っています。
ソンビン:世界第2位という韓国よりもより大きな音楽市場である日本に、“挑戦”するために来たわけですし、より多くの人に自分たちの音楽を聴いてほしかったわけですから、少しでも多くのライヴを通じて、日本の音楽ファンに近づきたいです。なので、ぜひライヴに来てください。
スリュン:僕らの魅力はライヴです。とにかく一度ライヴを観てほしいです。ライヴが命なんです。日本で開かれるライヴ、時間があればぜひ観に来てください。
ヒョンソン:韓国から遊び半分で日本に来ているわけではありません。良い音楽をもって、日本でも活動したいんです。ぜひ僕らに関心を寄せてください。僕らもその期待に応えるような良い姿をお見せすることを約束します。