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古家 正亨のK-Musicアーカイブス

Vol.11 ジョンヨプ(정엽)

ラジオDJ/テレビVJ/韓国大衆文化ジャーナリスト
上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士前期課程修了。
98年~99年韓国留学。帰国後00年に日本初のK-POP専門番組
「Beats-Of-Korea」(FMノースウェーブ)を立ち上げる。
04年~韓国MTVで日本人としては初となるVJとしてJ-POP番組
「MTV J-BEAT」の進行を担当。
現在、テレビ・ラジオ併せて10本のレギュラーを持ち、日本にK-POPの真の魅力を伝えようと努力している。
韓国観光名誉広報大使、韓国食と農産物広報大使、
2009年には韓国政府よりK-POP普及に貢献したとして、文化体育観光部長官褒章を受章。

http://furuco.petit.cc/
 韓国MBCラジオ、MBC FM4Uで毎日24時から26時まで(韓国のラジオ番組は、基本的に月から日の1週間、毎日の帯番組で1番組が2時間という共通フォーマットでどの放送局も放送されている!!! おまけに基本生放送!!!)の人気番組『青い夜 ジョンヨプです』の進行を務め、その淡い色をした声と深い音楽で、韓国の深夜族の耳と心を癒してくれている、韓国を代表する男性ソロ・シンガー、ジョンヨプ。しかし、彼の名は、ヴォーカルグループ、Brown Eyed Soulのメンバーとして知っているという人も少なくないだろう。2003年からBrown Eyed Soulのリーダーとしても活躍し、グループを牽引してきた彼は、その深く甘い声で、元Brown Eyesのナオルと共に、グループではメインヴォーカルを担当、そのステージパフォーマンスとハーモニーの美しさは、オーディエンスだけでなく、音楽関係者も絶賛するほど。しかし、2008年に発表した彼自身のソロ・アルバムは、ソロアーティスト“ジョンヨプ”としての可能性と実力をしっかり誇示するだけの力作で、この1作で、彼のシンガーソングライターとしての評価は急上昇。昨年出演した音楽バラエティ、MBCテレビの『サバイバル 私は歌手だ』へのレギュラー出演を通じて、その名前は、音楽好きだけの存在から、幅広い層へと伝播されることになった。 今や韓国を代表する男性ソロシンガーとして、その座を不動のものとした彼、ジョンヨプに直接話をきく機会を得た。彼の音楽的感性は果たしてどこから生まれたものなのだろうか。そして、彼にとっての音楽とは・・・Brown Eyed Soulでの活動も含めて、そして、気になる日本での活動も含めて、12月12日の第2集発売を前に忙しい最中、話をきいてきた。

― 今回、直接お会いできて、とても嬉しいです。

ジョンヨプ:こちらこそ、ありがとうございます。

― さっそくなんですが、実に感受性豊かな音楽をやっていらっしゃるという印象が、ジョンヨプさんの音楽を聴くと感じるんですが、その音楽との出会いから教えてください。

ジョンヨプ:小学生の頃でした。ラジオから流れるポップスを聴いたのが、そもそもの音楽との出会いです。小学4年生には、ビルボードチャートにランクインしている音楽を意識的に聴くようになりましたね。当時はユーロ・ディスコ全盛だったので、そのあたりの音楽はほとんど聴いていましたし、ほかには、ボニー・Mや、グレン・メディロスとか、ワム! とか・・・英語はよくわかりませんでしたが、その時によく聴いていたポップスの影響は大きいですね。

― では、実際に音楽を始めようと思ったのは・・・

ジョンヨプ:歌を歌い始めたのは高校時代で、そう考えると、もう19年が経つんですね。実の兄が楽器をたしなんでいたので、その影響で楽器を始めたんですが、中学生の時からアコースティックギターを始めたんですね。そして、それに合わせて、自然に歌い始めたんです。やってみたら、面白くって。歌うのって楽しいって。その時は、当時韓国で流行っていたいわゆる流行歌謡というものを、一生懸命、楽譜を見ながら真似して歌っていましたね。

― でも、音楽で食っていきたいと思ったのは、また別の機会ですよね?

ジョンヨプ:最近、韓国ではオーディション番組がブームですが、大学生になってから、僕も、当時は芸能事務所主催のオーディションが主流でしたけど、数え切れないくらいオーディションを受けましたね。そうこうしている間に、韓国人男性の宿命である徴兵の時期を迎えまして、入隊しました。その間も、何かチャンスがあれば、これをもって、また事務所に駆け込もうと思って、自分の歌を録音したCDを持っていたんですが、今お世話になっている事務所のスタッフと、偶然、つながりが生まれて、彼に、除隊前、休暇を利用してそのCDを渡したんです。そうしたら、除隊したら、すぐに契約を結びましょうということになって、2003年にBrown Eyed Soulのメンバーとしてデビューすることになったんですね。ですから、遅咲きといえば良いんでしょうか(笑)。

― それにしても、2003年に、Brown Eyed Soulの音楽を聴いたときの衝撃は忘れられません。こんな素晴らしいソウルを奏でるアーティストが韓国にもいるのかと。4人はどうやってあったのですか?

ジョンヨプ:僕らの場合は、“知人”を通じて会った・・・という言い方が適しているかもしれません。僕の軍服務時代の友人の友人がナオル氏で、ナオル氏の知り合いの兄さんの弟さんがヨンジュン氏で、ナオル氏の兄弟の教会友達がソンフン氏だったんです。その当時は、そのようなつながりがあるとは知らなかったんですが、いろいろ話しているうちに、わかっていったんです。みんなソロで活動ないし、ソロ活動を準備していました。こうして出会った4人が、それぞれが好きなように歌うのではなく、ハーモニーを奏でられるところが、僕らの特徴ではないかと思うんです。もちろんソロのパートがありますが、そのソロパートを含めて、多様性のある感性を表出させることが出来るのが、僕らの持っている特徴であり、魅力ではないかと。

― Brown Eyed Soulの音楽的な特徴としては、第1集を聴いたときに衝撃を受けたんですが、韓国的なR&Bではなく、どちらかというと、アメリカのR&Bを意識した本格的な音楽を聴かせてくれるというイメージがあるのですが、そのあたりはそもそも意識されていたのでしょうか?

ジョンヨプ:僕らが特別に韓国的なR&Bではなく、アメリカ式のリアルなR&B,ソウルを最初から求めていたかというと、そうではありませんでした。僕らがそれぞれ好きな音楽といっても、いろんな音楽が好きですが、その中でも、ソウル音楽が共通点として一番深かったのかもしれません。ですから、最初から意図的にソウルミュージックをやろうということではなかったんです。ですから、第1集発売当時は確かにソウルにフォーカスが当てられていましたが、今は、もっと多様性のある音楽を、多分アルバムを聴いていただければ感じてもらえるのではないでしょうか。

― こうしてBrown Eyed Soulとして成功を収め、ソロ活動が始まるわけですね。2008年でしたか。第1集『Thinkin' Back On Me』。いやぁ、もう、このアルバムを聴いたときは、Brown Eyed Soulの第1集を聴いたときと同じ、いやそれ以上の衝撃だったかもしれません。特に「Nothing Better」という曲がありますが、この曲を聴いたときは、まるでMaxwellかと思いました。作詞・作曲もご自身でされていますが、この曲を含むソロ第1集を、どんなアルバムに仕上げようと思われたのでしょうか?

ジョンヨプ:グループで活動していた、こういうところを個人だったらこういったことができたのに、とか、ソロだから伝えられる物語があるとか、出せなかった感情とか・・・そういったものを全て凝縮させましたというのが、ソロ第1集でした。僕は個人的に、最初でも話した通り、いろんな音楽を聴いて育ったので、当然ロックも好きですし、多様性に富んだ音楽が好きなんですね。ですから、第1集では、ジャンルを分けるというよりも、いろんなジャンルの音楽にある感性を自分なりに表現したかったというか。そういった想いが込められていたんです。メロディーもそうですが。

― そういえば、ジョンヨプさんも大ヒット番組『サバイバル 私は歌手だ』に出演されて、大人気となりましたね。特に2011年はこの番組が音楽界全体に与えた影響が本当に大きかったと思います。ジョンヨプさん自身にも与えた影響は大きかったのではないでしょうか?

ジョンヨプ:僕の音楽を好んで聴いてくれる皆さんは、どちらかというと、若い皆さんが多いですが、番組がプライムタイムに放送されていたこともあって、自分も驚くぐらい、多くの皆さんが、僕のことを知ってくれたようで、マダムファンが増えました(笑)。マダムの皆さんが、凄く僕を応援してくれるんですよ。今では、僕のファン層の多くを占めるのが、マダムファンという状況にまでなりました。

― 正直言って、今日本ではK-POP=アイドルという印象が強すぎて、実力あるアーティストがその枠の中で活躍できる状況ではありません。ジョンヨプさんのようなアーティストが、もう少し、日本で活動してくだされば、日本人のK-POP観って変わってくると思うのですが・・・。

ジョンヨプ:僕もそう感じています。僕のようなエッジのある音楽をやっているようなアーティストが日本で活動することで、先ほど、古家さんは、僕のことを冗談で(笑)韓国のMaxwellのようだって言ってくださいましたが、僕自身も多様性のある、大きな市場である日本で活動することによって、こんな音楽ができるアーティストがいるということを伝えたい気持ちがあるんですね。それも、小さなライヴハウスをゆっくりと時間をかけて、日本のファンの方と近い距離で、その音楽を伝えたい。韓国でも、これまで頑張ってきましたが、音楽から受ける印象やニュアンスって、国が変わると少し変わってくると思うんです。僕の音楽を、また違った解釈で感じていただける人々と出会うことで、自分も、自分の音楽を違った形で観ることができるのではないかと。こういう活動を以前からしてみたかったので、日本でも歌ってみたいですね。ソロとしては、すぐに・・・という話は難しいかもしれませんが、Brown Eyed Soulとして2013年に、日本で歌えるはずです。グループで歌うことで、また違った感覚を楽しむことができますから、僕も個人的に凄く楽しみにしています。

― これからどんな音楽を?

ジョンヨプ:僕もそうですが、音楽を聴いてくださる方にとっても同じだと思いますが、愛が生まれ、そこに葛藤が生まれ、良いこともあれば、当然別れがある。こういった感情を、音楽を通じて、自分も感じたいし、感じてもらいたい。つまり、“一緒に共感できる音楽”を通じて、自分だけではないということを、自分の音楽で感じてもらえるような、そんな音楽をいつまでもやっていきたい・・・それが自分が音楽を通じて伝えたい、これまでずっと思ってきた感情なんです。そして、今までのように、慌てず、ゆっくりやっていきたいと思っています。いつまでも、愛される音楽をやっていくには、突然大ヒット!というような感じではなく、ゆっくりと歩いて行ける・・・そんなアーティストでありたいですね。

― 今後の活動は?

ジョンヨプ:今、いろいろと準備しているのですが、ソロ第2集のフルパッケージを準備しています。2011年に発表した作品は、フル第2集ではなく、半分を先に作った感じなんですね。なので、この間発表してきたシングルや新曲4曲ぐらいでしょうか・・・を集めて、改めてフルパッケージの第2集を年末にでも発表できればと思っています(12月12日に発売)。ただ、ラジオのレギュラーがあったり、他にもいろんなスケジュールがあったりで、なかなか作業が進められないんですが・・・年末には、Brown Eyed Soulのコンサートもありますし。

― 僕はそもそもラジオのDJなんですが、ジョンヨプさんの音楽は、ラジオで聴くと、また味わい深くていいと思うんですけど(笑)。

ジョンヨプ:そうでしょ? 僕は昔から、アナログ的な感性が好きだったので、実は小さい頃からラジオのDJが夢だったんです。ですから、忙しいですけど、夢がかなってうれしいです。ラジオの魅力は・・・そうですね。見えませんよね。

2人:(爆笑)

ジョンヨプ:いろんなことを想像できますから、こう、本を読む感覚といえばいいでしょうか。でも、ラジオの違いは、1人で読むのではなく、DJと一緒に本を読むことができるじゃないですか。一緒に音楽も聴けますし、お互いの心を共有できますし・・・。いいですよね、ラジオ。

(ゲスト)ジョンヨプ(정엽)

1977年2月25日生まれ。
シンガーソングライター。様々なオーディションを通じ、デビューへの切符を掴むも、なかなかヒットに恵まれずにいた最中、2003年のBrown Eyed Soulのメンバーとしてのデビューをきっかけに大ブレイク。2008年にはソロ第1集を発表し、シンガーソングライターとして名声を得る。特にこのアルバムに収録されていた「Nothing Better」が、多くのアーティストやアイドルたちに歌われ注目を集める。2011年にはバラエティ『サバイバル 私は歌手だ(MBC)』のシーズン1に出演し、番組自体に国民的人気から、彼自身に人気も高まり、実力派シンガーソングライターから、一気に大衆から愛される歌手へと、そのファン層の裾野が一気に広がり、韓国を代表する男性ソロシンガーとして、その地位を確かなものとした。2012年12月12日、待望のソロ第2集を発表。

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