彼らと初めて出会ったのは、筆者がBS11でMCを担当している韓国情報番組『韓ラブ』のロケ現場。当時は、2ndシングル発表に向けて、メンバー入れ替えによるサバイバルミッションを行っている最中で、メンバーの誰もがその緊張感の中で、自らを模索するような雰囲気だったことを覚えている。韓国には、“アイドルバンド”という関係者の暗黙の了解の中で独り歩きしていった“言葉”が存在する。その歴史は“Buzz”のデビューにまでさかのぼることになるが、つまり、アイドル的要素を備えたバンドのことを指すわけだが、バンドと言っても正直、演奏力やソングライティングの能力は“基本”問われない。つまり、形骸化されたロックバンドといってもいいだろう。しかし近年、FTISLANDやCNBLUEの登場によって、形だけでは成功できない環境が生まれつつあるのも事実。そういったアイドルバンドの一角を担う形で、2009年10月に、あのバラード歌手として日本でも人気を集めるペク・チヨンのヒット曲「Dash」をロックテイストにアレンジし、この曲をもって韓国音楽界でその第一歩を記した、“ロックバンド”が今回取り上げる“LED Apple”である。2011年5月には、先のミッションをクリアしたメンバーによって、シングル「How Dare You」でカムバック。2012年には、Zeppダイバーシティ東京で初の単独公演“LED apple Live2012”を開催し、注目を集め、今では“アイドルバンド”という枠を超えた、ロックバンドとしてその地位を築きつつある。メンバーの入れ替えや音楽性の変遷を経てようやく辿りついた、“LED Apple”としての居場所。それは、その音楽性を受け入れてくれる日本だったのかもしれない。今回、昨年末、東京・新大久保で行われた初のファン・ミーティングの際に来日した彼らに、彼らが向かうべき場所、そして、音楽について話をきいてみた。
ヨンジュン:デビューしてからこれまで7枚のシングルを発表してきましたが、メンバーのゴヌが夏に脱退して、この秋(2012年)から、今のメンバー5人での再スタートを切ったばかりです。
キュミン:ロックバンド的な部分を前面に押し出しているのではなくって、その中にダンスポップ的な要素を取り入れているところや、歌謡的なテイストを取り入れたり・・・。ロックという1つのジャンルにとらわれない様々なジャンルを、バンドという形で表現しているところではないでしょうか。
グァンヨン:特にアイドルバンドに対する視線は気になります。時にそれが怖いときもあります。バンドとしての評価という点で。多くの人は、僕らをアイドルとして観ているわけですから。
ヨンジュン:音楽番組に出演することの難しさはあります。でも、僕らはそれをライヴや公演活動を通じて、カバーできていると考えて、ステージでの活動に力を入れて頑張っています。
グァンヨン:ソウルでは、公式の単独公演としては2回。あとは、地方公演やイベントなどに参加もしているので・・・。
ヨンジュン:ほぼ日本での回数と同じくらいのライヴの回数はやっていますね。
ヨンジュン:チョ・ヨンス先生が書いてくださったんです
ヨンジュン:そうです。チョ・ヨンス先生の今回の曲は、80年代テイストといえばいいでしょうか。
ヨンジュン:「風よ吹け」は、70年代、80年代、韓国では「7080」という風に言いますが、歌謡テイストのメロディーをロックにアレンジした、まさに復古調なナンバーです。
ヨンジュン:感受性豊かな歌と表現力で違いを出せていると思います
ハンビョル:オーストラリア出身なんですが、オーストラリアにいたときから、歌うことに関心がありました。小さい頃はR&Bが好きで良く聴いていましたね。でも、LED Appleのやっている音楽と一緒で、1つのジャンルというよりも、いろんな音楽に関心はありました。特に、海外に住んでいると、ロックのパワーってすごいじゃないですか。だから、当然ロックもよく聴いていました。ただ、歌手になりたいという強い考えはなくって、偶然のきっかけが、歌うことの楽しさを教えてくれたというか。楽しく歌うことが職業としても成立するなら、これほど嬉しいことはないという考えに変わっていったんです。
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ヒョソク:僕は、小さい頃から教会に通っていたんですが、その時に、音楽隊に加わって、ドラムを始めたのが、本格的な音楽との出会いでした。実際にLED Appleでやっている音楽とは当然ジャンルで考えると大きな違いはありますが、それでも、ドラムを叩くという行為、そしてそこから生まれるリズムという点では、同じところもたくさんあるので、LED Appleとしての活動を重ねていくうちに、どんどん自分たちのやっている音楽が好きになっていったという感じです。 グァンヨン:僕もヒョソクくんと一緒で、教会に通っていた時に音楽に触れて、そして、バンド活動を始めたんですが、音楽的影響は、小さい頃よく聴いたJ-ROCKでした。もちろん、韓国のバンドにも関心はあったんですが、J-ROCKを聴いたときにベースの音の良さに、ベースの魅力を感じたんですね。それが、ベースを始めたきっかけでした。
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ヨンジュン:僕は、16歳の時に、X-JAPANを知って、ギターの格好よさを知って、バンドを始めたのが、本格的な音楽活動のスタートに繋がりました。 キュミン:僕は小学校5年生の時に、担任の先生がバンドをやっていたんですが、その先生の影響で、歌手になりたい気持ちが自然と生まれた記憶があります。先生がどんなライヴをやっていたのかは知りませんが(笑)、授業中に、ギターをかき鳴らしながら良く歌ってくれたんですね。 |
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ヨンジュン:まず、観てくださるみなさんの、許容量の大きさに驚かされます。老若男女問わず、ロックやバンド音楽を受け入れてくれる音楽的な許容量の大きさは、ステージに上がって演奏する僕らにとって、凄く大きな力になりますし、みなさん、僕らの音楽に耳を傾けてくれるんですよね。韓国では、常に誰かの視線を気にしながらステージに上がっていたような気がします。でも、日本では、僕らを受け入れてくれる雰囲気を感じるので、そのロックやバンドに対する意識の高さから、自分たちも得るものが本当にたくさんあると思いましたね。
ヨンジュン:とにかく、アイドルバンドではなく、バンドとして成功できるように、頑張りたいです。実力を評価されて、日本は勿論、世界で活動できるような、そんなバンドLED Appleであれるように・・・。
2009年にデビュー。男性6人組ロックバンドとして活動をスタート。「LED Apple」の意味は、レッド・ツェッペリン(LED Zeppelin)に憧れているという意味のLEDと、アイドルの持つ甘酸っぱさや新鮮さを意味するAppleを融合させたもの。2012年7月に、メンバーのゴヌが脱退し、現在は5人組として活動。