韓国を代表するヴォーカルグループと聞いて、真っ先に連想するグループは誰だろうか? K-POPの事に少しでも関心のある人であれば、多くの人が彼らを連想するに違いない。ジノ:随分時間が経ちました。3年ぐらいでしょうか。曲もたくさん書きましたが、選曲にかなり時間がかかりました。なぜなら今回、アルバムで自分の人間味を表現したかったからなんです。そのために、選曲には、かなり苦労しました。Sg wanna Be+では、作詞だけで5曲ほど制作に参加したことはあったのですが、作曲は一度もしたことはなかったんです。でも、ソロを出すときは、人間キム・ジノの正直な姿を表現したいという気持ちがあったので、何かに包まれたような自分の姿ではなく、ストレートな自分を見せようと。そこで、自分が決して作曲能力に優れた人間だとは思いませんが、そもそも誰もが最初から完璧な人はいないと思うんです。ですから、難しいことは重々承知の上で、自分というものをソロ第1集では、自分自身の作品を通じて表現したかったんです。
ジノ:鼻歌で構成した音楽を、思い浮かんだ瞬間に録音して、その後アレンジを加えていったわけですが、歌詞もほぼ同時に浮かぶことが多かったですね。ですから、歌詞そのものが、何か自分が話しているような、話し言葉で構成されていると、聴いた方は感じたはずなんです。メロディーと同時に思い浮かんだ単語を紡いでいく・・・そんな感じで曲が生まれていきました。
ジノ:これが僕の本当の姿だと思ってください。Sg wanna Be+はグループですから、メンバーそれぞれが持っている長所を、1曲の中で表現しなくてはなりませんよね。それに加えて、制作者が求める曲のイメージだったり、メンバーの色が当然ありますし、曲を作った作曲家にも、そのイメージが別に存在したりするわけです。僕個人の心の中では「ここはこうじゃないかなぁ」と感じることもあります。でも、Sg wanna Be+では、それが十分に表現できなかったことは確かです。だからこそ、ソロ・アルバムでは、本当の自分の姿を、歌で表現したい自分を見せた結果、そう感じていただけたのだと思います。ですから、今回は「歌が上手ですね」という褒め言葉ではなく、むしろ「何かお話しているような感じで耳に入ってきます」という風に言われると嬉しいです。
ジノ:自分は当然、よい作曲家と出会い、よい歌を提供してもらって、それを歌える喜びというものを感じていましたが、その歌を聴いてくれるファンの皆さんは、心から自分というのもを出して、僕の奏でる音楽と向き合ってくれているのに、自分は、自分に正直な音楽を果たしてファンの皆さんに提供できているだろうか・・・という自分自身に対する疑問が生まれたんですね。それから、このアルバムの制作作業に入ったんです。曲は、約2年前ぐらいからデモを作り始めていました。
ジノ:そうですね。曲順には気を配りました。僕の感じたことを表現した曲なので、どの曲にも、共通点と一定の距離があるんですね。ですから、計算して曲順を考えたというよりは、自然とその流れが生まれたと言っていいと思います。
ジノ:最初に聴いたときは、誰もが「これが本当にキム・ジノか?」と感じるようですが、少しして、その良さを感じていただけているようです。Sg wanna Be+の曲を歌っている時は、楽しさ、悲しさをストレートに表現していました。そして、それを多くのファンが受け入れてくれたわけですが、僕自身も若かったですし、歌手として活動できた喜びに、その歌は溢れていたのだと思います。ただ、時間が過ぎて、そうではないことに、自分もいろんな人生経験を経て、気づいたんですね。もちろん、Sg wanna Be+の時の自分を否定するわけではありません。ただ、ようやく、自分のやりたかった音楽に出会えたんだということに、ファンの皆さんも、今回のアルバムに関するインタビュー記事などを読んで感じてくれているみたいです。
ジノ:28歳です(笑)。高校生の時にデビューしましたから。でも、そんなに歳とってないですよね、僕(笑)。ですから、活動10年目です。
ジノ:常に音楽に対して“熱く”いることではないでしょうか。でも、歌手としてデビューした時のあの“熱さ”というものは、少しずつ成功を収め、そして、お金を得て・・・という過程を過ぎていくと同時に、失っていくものです。ただ、歌手という仕事はとても特殊なもので、自分が好きで歌っているだけでなく、その自分の歌が、聴く人に対して与える影響力を考えると、その影響力の大きさにしっかり責任を持たなくてはならないと思うんです。この歌を聴いた人が、もし何かに戸惑っている時、この歌を聴いて元気が出たとか、新しい一歩を踏み出せたとか、人生そのものに与える影響も大きいと思うんですね。ですから、歌手は、他の人の人生にも影響を与えるような、そういった仕事をしているんだという自負心と責任感が必要で、それを維持できている人が、長く活動できるんだと思います。
ジノ:歌手であれば、コンサートに来ていただいて、一緒に歌って、大声で叫んで、汗をかいて、涙を流して・・・っていう感情を表出できるような、そんな空間を作りたいと考えるのは当然だと思います。でも僕は今回のコンサートで、歌手のその“声”で、全てを表現したいと思っています。もしかすると眠気を誘うような瞬間もあるかもしれません。でも、友達と真剣に話をするとき、静かに淡々と話をしていても、決して眠くはならないですよね。真剣に相手と向き合っていれば、そういった瞬間は生まれないと思います。僕は今回のコンサートで、そんな友達の話のような、自分の心の中にあるものを“歌”を通じて、ファンの人の“心”で感じてもらえればと思っています。
ジノ:心を込めてそうしてくださるのはわかりますが、やっぱり歌っている時に、気が散ってしまうといえば、そういうところはあります。実は、かつてはそう感じたんですが、今は逆で、それが感動的すらあります。バラードを歌いながら目の前で「オッパ〜!」と叫ばれようと、自分が年老いたときに、その時のことを思い出して「ああ、あのときは良かった」と感じるんじゃないでしょうか(笑)。