極めて原始的な表現「歌う」と「踊る」。ロックバンドしか鳴らせない轟然ひしめく中、炙り出されるアニマル/ダンス/ポップ。
「(ライブハウスの、あの壁を越えたコチラ側では)人ではないモノに成り果てる瞬間があっていいし、(自分は)それを美しいと思う」_____Gu,Vo/オオスカ談
1st ALが、9曲中8曲、男声曲だったのに対し、今作は、すべてがBa,Voのマナミオーガキによる女声曲。
前作が尖鋭な印象だったのに対し、曲線的なアプローチから生まれる温もり・円のイメージ・包容などを強く感じさせる本作だが、その奥の奥の奥に潜めた底知れない悲しみ・ダルさ・昏がりからは、ある種の「呪物」のような混濁がどろりと滲み出てもいる。
その「濁り」あるいは「歪み」が、理性を置き去りにするようなNikoんの演奏と交わることで、(ロックバンドがポップスを奏でる際に陥りがちな)ロックバンドたる本質の消失を食い止め、 Nikoんにしか鳴らせないポップスを掻き鳴らすロックバンドたらしめている。
夕暮れに沈む陽が飛び火させる狂気、オレンジというより赤黒い感情、血潮が与える理性を飛び越えた火照り対義的な要素を孕んだ楽曲は、ダンスミュージックを鮮やかにハックし、綯い交ぜにし、ロックとバンドを拡張し、これまでに無い、他には無い、「たった1つ」を紡ごうとしている。