2017年にリリースされた『Year Book』シリーズ第四弾。1980年代後半の音源をまとめているが、CD5枚組というシリーズ最大のヴォリュームになっている。
原田大三郎と行った伝説の演奏『TV WAR』やビル・ラズウェル、近藤等則、カーロス・アロマーらと共演した「インク・スティック・セッション」はそれぞれCD1枚に渡る全曲収録、CD2枚に及ぶ如月小春のパフォーマンス「マタイ1985 〜その人は何もしなかった」もある。
サンディー・アンド・サンセッツやデヴィッド・シルヴィアンとのコラボレーション曲のほか、当時のCM曲、ラジオでの大貫妙子との共演ライヴなど5枚組を生かして80年代後半の坂本龍一のエネルギッシュな活動を最大限に詰め込んでいる。
アルバム『未来派野郎』のアウトテイク「Futurista」の収録も大きな話題になった。前作までと同様に坂本龍一による楽曲解説のインタビューや珍しい当時の写真を掲載したブックレットも付属している。
坂本龍一アーカイヴ「Year Bookシリーズ」の第4弾は5枚組!1985年から1989年の作品からレア音源を収録。
如月小春、高橋悠治、三宅榛名、渡辺香津美他との『マタイ1985』公演全編、六本木INKSTICKでのセッション、完成しつつも『未来派野郎』に収録されなかった秀逸曲)」89年NHKFM特番での大貫妙子との共演「風の道」、「Rachael/サンディー・アンド・ザ・サンセッツ(初CD化)」、未発売の「The Garden(TOKIO KUMAGAI)」等。
坂本龍一は1987年公開(日本では1988年)の映画『ラストエンペラー』でアカデミー賞作曲賞を日本人として初の受賞をしたことで世界的に有名になったが、80年代後半も意欲的にオリジナル・アルバムを発表し、さらにライブツアーや企業CM等も精力的に手掛けていた時期でもある。
本作は未発表トラックを中心に、現在入手困難な音源も収録。坂本ファンにとっては垂涎のコンピレーション。
フェアライトCMIやEmulatorU、DX7を使った当時の坂本龍一の先鋭的サウンドメイクは音楽ファン、キーボードファンにも訴求するだろう。
付属のトールサイズブックレットは当時の写真や資料写真を用い、充実した内容の約52ページで構成される。