2020年2月に「イタリアの四季シリーズ」の最終作「Primavera〜イタリアの春〜」をリリースした、イタリアを代表するマンドリン奏者のマウロ・スクイッランテとギタリストのサンテ・トゥルジ。二人の次なるプロジェクトは、パーカッション奏者にして作曲家であるルイジ・モルレオと、南イタリアを代表するシンガーであり、世界的ピアニストのルドヴィコ・エイナウディから高く評価されている、エンツァ・パリアーラとの新しいカルテット。
メンバー全員が、サレントの伝統音楽に興味を持ち、特にエンツァはサレントの伝統音楽を深く追求し、歌って来ました。従って今作は、マウロとサンテが演奏するナポリの香りのするナンバーから、サレント語やグリコ語(ギリシャからの移民がサレントに住み着き、その人たちが使っていた言葉)で歌われるエンツァのナンバーまで、南イタリアの豊かなる音楽を伝える作品となりました。
サレントの音楽を特徴付けているのは、ピッツィカという独特のダンスであり、リズムです。本作の2、14曲目がそれに当たり、この曲でのマウロのマンドリンとサンテのギターは、何時にも増して躍動的であり、ルイジのパーカッションがそこに更なる躍動感と生命力を与えています。そして何よりも、エンツァのダイナミックで情感溢れる歌声が大変魅力的響く、本作のハイライト曲といえます。
サレントとナポリ、2つの地域に伝わる豊かな伝統音楽に、新たなる息吹を吹き込む意欲的なアルバムが本作です。
アルバムの精神的テーマはPeace(平和と平穏)。収録曲には、カトリックの国ならではの曲もあり、その曲では人々に対する優しさと思いやり、そして愛を歌っています。コロナ禍を意識した選曲です。