期間限定、mu-moショップオリジナル「SMILE 」セット登場
※販売終了しました。
2006年7月から約半年間、70公演以上にわたった東京スカパラダイスオーケストラのライブツアーを追ったロードムービー、「SMILE 〜人が人を愛する旅〜」の公開を記念して、前売り鑑賞券+限定グッズ(ライター&ステッカー)がmu-moショップオリジナルセットになって登場。2007年3月26日までの期間限定商品です。
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日本が誇る屈指のライブバンド、東京スカパラダイスオーケストラ。
ジャンルを超えた“トーキョー・スカ”サウンドは、世界の檜舞台でも活躍中。
彼らは2006年6月に12枚目となるオリジナルアルバム「WILD PEACE」をリリース。
7月の日比谷野外音楽堂を皮切りに、半年で70本を越える壮絶なツアーをスタートさせた。
日本のみならず、寝台付きのバスで、フランス、ドイツ、スペイン、スイス、ベルギー、オランダを約1ヶ月間まわる欧州ツアーや、ベトナムでのライブを含むバンド史上においても最長となる過酷な“ROAD”。

このツアーを中心とした膨大な半年間の記録を全て追いかけたのは、“戦う映像作家”牧野耕一。
三脚も使わず、10キロのカメラを常に背負い、たった一人で10人の軌跡を撮り続けた。
スカパラと同じステージに立ち、四六時中撮り続けた150日間ー。

人と向き合う事に命を懸けた一人の男が描く、ドキュメンタリーを超えた真実のストーリー。
「毎日が最高じゃなきゃいけない仕事をやっている」と言ってはばからない“10人の侍”が、幸せ探しの旅の途中に見るものは何か?

音楽を愛する人、自分が普通だと感じる人、そして“SMILE”を求める全ての人に捧げる“人間による人間のための”映画、ここに誕生。

>>「SMILE 〜人が人を愛する旅〜」オフィシャルHPへ

 ベトナム、ヨーロッパを含む、東京スカパラダイスオーケストラ史上最長のツアー“Wild Peace”に同行し、150日間にわたってメンバーの姿を撮り続けた監督:牧野耕一。斬新な映像作品というフィルターを通して彼が描き出したのは、人間の深淵をリアルに映す鏡のような世界だ。
 「終わりがあるから安心するのか、明日があるからがんばれるのか。」
映画の冒頭で、谷中 敦が口にした言葉が、やけに響いた。人間はいつだって相反する感情のはざまで揺れ動き、小さな喜怒哀楽をせわしなく繰り返しながら、日常の中にあるささやかなしあわせを見つけていこうとする。

 明るいだけの“ハッピー”なんて、無い。「楽しい」や「しあわせ」の裏側には必ず、痛みや葛藤や哀しみが潜んでいる。スカパラの放つ“トーキョー・スカサウンド”が人々を熱狂させ、魅了してやまないのは、単にそのサウンドクォリティの高さや他に類を見ないライブパフォーマンスの楽しさだけが理由ではない。
 脱退、事故、死亡といったさまざまな理由でメンバーチェンジを繰り返しながら、自分たちをとりまくあらゆる感情を深く年輪に刻みつけて進化し続けてきた彼らの音楽には、すべての人の心に巣くう光と影とを包括し、昇華させてしまう本質的な強さのようなものが確かに存在する。そして、私たちはその音が持つ圧倒的な生命力に、ただ惹きつけられる。

 東京スカパラダイスオーケストラは、1980年代後半の活動開始から、精力的なライブ活動にいちばんの重きを置き、アンダーグラウンドにあったSKAというジャンルをメジャーシーンのスタンダードにまでひっぱりあげた。と同時に、日本の音楽シーンにおけるLIVE観に多大なる影響を与えてきた唯一無二のバンドでもある。
 ステージもオーディエンスも一体となって、ただそこにある音のかたまりの中に溶け合うあの刹那的な瞬間になぜ“LIVE”すなわち、「生きる」という意味が与えられているのかはわからないが、感情と同じように不確かで実体のない「音楽」が人の心に作用するパワーははかりしれない。
 ライブで生み出されるあの高揚感は、混じりけのない“ハッピー”、つまり自分の中にあるマイナスの感情がすべて消えうせてしまった状態に最も近いのではないかと思う。だからこそ、私たちは切望する。この瞬間が永遠に続けばいいのに、と。

 フィルムに焼きつけられた時間の中で、スカパラのメンバーはとてもよく笑っている。熱にうかされたように演奏に没頭する時も、飲んだくれてすっかり酔っ払った時も、冷めた視点で自分を語る時も、よく晴れた空を見上げる時も、1秒1秒過去になっていく「現在」をいつでも「最高の状態」にしておこうとするように、さまざまな“SMILE”を見せている。映し出されるのは決して明るい笑顔ばかりではない。けれど、彼らの日常に溢れる“SMILE”には、一点の迷いも、嘘もない。
 そう、この映画は、極上のミュージックロードムービーであると同時に、人間が真摯に「生きていく」姿を静かにたどった、素晴らしい記録なのだ。

(文・吉原樹世乃)