インタビュー

―『信長の野望』『三國志』に続くモバイル版『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』ですが、ゲーム内容はどういったものなんでしょうか。
「基本的には当社が得意とする国盗り形式の歴史シミュレーションです。ベースになっているのは全4作が発売されている同シリーズの2作目で、モンゴル編と世界編のふたつのモードが楽しめます。モバイル版では武将の顔グラフィックを最新のものに変更したり、プレイヤーが選べる勢力を多数追加していたりと、繰り返し遊べる内容になっていますね」

―チンギス・ハーンが題材として選ばれたのに、何か理由はあるんでしょうか?
「シリーズの企画を考えたのは、当社のプロデューサーのシブサワ・コウですが、彼はこれまで、歴史上で時代が大きく動いたときの人物に焦点を当てた作品をいくつも送りだしてきているんです。その彼が最初につくったのが『信長の野望』で、戦国時代を題材にしたものでした。次が『三國志』で、こちらは中国の三国時代が題材でした。そこから、次は何にするか、といったときに出てきたのが、世界規模で版図を広げたモンゴルのチンギス・ハーンだったんです」

―ゲームとして『信長の野望』や『三國志』と違う点はどのあたりなんでしょう
「まずは舞台がユーラシア大陸全土というスケールの大きさですね。練習モード的な存在のモンゴル編では、基本的にチンギス・ハーンが主役にあたる存在ですが、世界編から始めた場合は日本やイギリスなんかの君主でも遊ぶことができて、源氏一族で世界制覇を成し遂げる、といった遊び方もできます。システム面でも、自勢力の住人たちに何をさせるかを配分で決める内政や、複数の后と“宴”を行うことで自分の子供を増やすといった、ほかにはない要素がいろいろ用意されています」

―これからゲームを始める人に対して、攻略法というか、アドバイスはありますか?
「結局のところは住民の配分をいかにうまくやりくりして、たくさんの兵士を集めるかが勝負になります。兵士も住民に割り振る役割のひとつですが、維持するには人数に応じたお金と食料が必要です。配分のバランスをいろいろ試してみて、着実に兵士を増やすことを心がけるといいと思いますね。それと、血縁武将を早めに確保しておくのも、版図を広げるのにはとても重要です。そのためには序盤からしっかり“宴”をして、子供をたくさん増やすこと。男子なら武将にして配下にできますし、女子でも優秀な武将に嫁がせて新たな血縁関係を築けます。余裕があるときは“宴”をやっておいて損はない、と考えておけばいいと思います。内政も宴も、どちらもゲームの特徴になっている部分ですから、そこに早めに慣れて、うまく勢力を運営するコツを自分なりに見つけることが大事ですね」

―映画『蒼き狼 ~地果て海尽きるまで~』もご覧になったとのことですが、そのご感想は?
「日本語に違和感を覚えるのでは?と思いましたが、実際に映画を観てみるとまったく気になりませんでした。ストーリー上での人物たちの解釈も“なるほどなぁ”と感心できましたし。映像的には、現地のスタッフをたくさん起用した、騎馬軍勢同士が激突するスケールの大きな戦闘シーンがとにかく圧巻でした」

―ゲームと映画とでは、チンギス・ハーンのイメージも違ったと思うのですが。
「うーん、ゲームだと登場する人物たちの評価って能力の数値で判断されがちで、人物のイメージっていうのは実はそれほど強くないんですよね。特にチンギス・ハーンはプレイヤーキャラクターですし、いち人物としての印象は逆に薄くなりがちなんですよ。それこそ、世界史の教科書に載っていることぐらいのイメージだったり・・・。ゲームと映画でイメージの違いがあるとすれば、グラフィック上の見た目で似ているかどうかぐらいでしょうか。基本的にはゲーム中のチンギス・ハーンはイケメンなので、その意味では反町(隆史)さんに近い印象・・・かもしれませんね(笑)」

―最後に、ゲームや映画を楽しむ方に向けたメッセージを。
「チンギス・ハーンは学校の授業などで知名度は高いけれど、あまり人となりを知っている方は多くないと思います。映画ではそのあたりのエピソードがしっかり描かれているので、ご覧になった方は感情移入しやすく、ゲームも十分に楽しんでいただけると思います。逆に、ゲームのほうでチンギス・ハーンについて知っている方も、映画を見ることでまた新しい人物の印象が生まれるんじゃないでしょうか。実際に、私も映画を見たことで、ゲーム内での人物たちの評価が変わった部分もありましたし。映画、ゲームに限らず、本なども取っ掛かりにして、ユーザーの方々ひとりひとりがチンギス・ハーンの世界や歴史を楽しんでいただけるとうれしいですね」

(text: 竹内拓也)