◆渋谷のライヴハウスMILKYWAYは満員。4組のバンドが出演したこの日、3番目に登場したのがDroogだった。荒金祐太朗(Gt)、多田拓斗(Ba)、右田智弘(Dr)が、まずはスタンバイし、いきなり全開で炸裂した熱いロックンロール! 荒々しく躍動するギターリフ、図太くに刻まれるビートが場内を震わせた1曲目「人類」を聴いた時点で、「このバンド、めちゃくちゃすごい!」と会場の人たちは確信したに違いない。
◆興奮をさらに加速してくれたのがカタヤマヒロキ(Vo)だ。バンドの演奏によって一気に熱気に包まれたステージ上へ勢い良く飛び出してきた彼は、髪を激しく振り乱し、両目をギラギラと見開いて歌う。彼の気迫に刺激され、観衆は瞬く間にDroogのロックンロール・パーティーへと巻き込まれて行ったのであった・・・。
◆彼らの曲は若いリスナーの耳には新鮮に響くだろうし、ロックに詳しい大人には「すごく良いセンス!」と大喜びされると思う。Droogの音楽性の核にあるのは「パンクロック」。しかし、彼らの同年代のバンドとはタイプがかなり異なる。現在の大半のバンドが、90年代以降のメロディックパンクをルーツとしているのに対し、Droogは70年代後半のオリジナルパンク、60年代末〜70年代初頭のガレージロックの雰囲気を色濃く持っている。
◆この日のライヴは全7曲を披露したが、小休止を一切挟まず、立て続けに演奏を繰り広げた。1曲目「人類」に続いて披露された「汚いお尻」は、多田のベースがリードし、スピード感たっぷりに展開していった。《悪魔が爆発して 町が汚れてって》などのフレーズにドキリとさせられた3曲目「アハハ」や、頭上で激しく手拍子しながら煽るカタヤマヒロキに誘われ、観客が一丸となって盛り上がった4曲目「お気に入りのレコード」。デビュー曲でもある5曲目「LOVE SONG」は、全身をしぼり上げるかのように発せられる歌声が刺激的だった。荒金がスリリングなギターソロをプレイする隣で、シールドにつながれたマイクをグルグルと勢い良く回転させるカタヤマヒロキのアクションが強烈なインパクトを放った6曲目「HORROR SHOW」。ラストを飾ったのは「いざさらば書を捨てよ」。サビでは腕を掲げ、マイクに噛みつくかのように歌ったカタヤマヒロキ。クライマックスではカタヤマヒロキ、荒金、多田がステージ最前線の床に置かれたモニタースピーカの上に乗っかり、3人で横並びになりながら我々に向かって爆音を浴びせた。
◆演奏を終え、激しい残響音が漂う中、「バイバイ!」とカタヤマヒロキが叫び、すぐにステージを後にした4人。文字通り嵐のように去って行ったDroog。しかし、観客の胸には拭い去りようもない強烈な印象が残された。 |