K.R.Y.が帰ってきた!――SUPER JUNIORのメンバーのうち、特に歌唱力に定評のあるキュヒョン、リョウク、イェソンの3人からなるユニット、SUPER JUNIOR−K.R.Y.が、リーダーのイェソンの除隊(5月4日)を機に、6月2日の横浜アリーナから自身初となるアリーナツアー“SUPER JUNIOR-K.R.Y. JAPAN TOUR 2015 〜phonograph〜” をスタートさせた。K.R.Y.の日本活動としては、2013年1月以来、約2年4か月ぶり。そんなプレミアムなライヴをここ日本で最初にスタートさせるということもあり、取材日のこの日(6月3日)も日本全国から約1万3000人のファンが駆けつけた。
ライヴは待ちわびた再会をかみしめるような、3人それぞれの映像からスタート。キュヒョンがあたかもスクリーンから登場するかのように、客席に背を向けステージに現れ、完璧な日本語歌詞と鼻から抜ける心地いい甘い歌声で「ハナミズキ」のソロステージから始まった。そしてリョウクが映像と同じ赤い傘をさしてスーッとステージに登場、「Coagulation(凝結)」を切なく甘くしっとりと歌い上げる。パワフルな高音はさらに磨きがかかり、安定感抜群だ。続いてスクリーンでは必死の形相のイェソンが駆け出し、なんとそのままステージに駆け込んできた。会場中に響き渡る歓声の中、この日のイェソンはツアー2日目とあって、落ち着いたいい表情。前日(ツアー初日)はファンの大声援を前に、歌いだしてすぐに涙してしまったのだ。ささやきかけるように歌う「すれ違わないように」では、イェソン独特の色気のあるハスキーな声に鳥肌が立つほどだった。
映像を挟んでセンターステージに黒い細身のスーツをまとった精悍な3人が登場。力強いの「My Love,My Heart,My Kiss」では、3人のパワフルな歌唱力に強いメッセージ性を感じる。彼らの真骨頂ともいえる美しいさわやかなハーモニーを堪能できる1曲だ。
バランスがいいのはハーモニーだけじゃない! MCのキャラ分担と掛け合いも絶妙で、三人三様のトークが楽しい楽しい。「みなさん、こんばんは〜会いたかったでーす。ぼくはリョウクでーす!」(リョウク)、「いらっしゃませ〜! お飲み物は何にしますか? もしや生ビール?ぼくはみなさんのキュヒョンです」(キュヒョン)と続き、さらにイェソン定番の挨拶、「みなさん・・・お元気ですかーーーー!」も飛び出した。そしてイェソンからはこんな発言も。「僕を待っていてくれた皆さん、本当にありがとうございます。待っていてくれなかった皆さんは、戻ってきてください(笑)。皆さんの前でまた歌うことができて、とっても幸せです」(イェソン)
続いてファン待望のEXILEのカヴァー曲、韓国語ver.の「Belive」では、3人で楽しそうに花道を歩きながら手をふってファンの声援に応えた。
この日の見せ場のひとつソロステージは、イェソンがトップバッター。ファンのために自ら書き下ろしたというミドルテンポの心地いいスタイリッシュなナンバー「どんな言葉でも」など2曲を披露。日本語MCでは、「まだ1%実力が足りなくて、日本語で歌詞が書けませんでした」と茶目っ気たっぷりなコメントもイェソンらしい。
続くリョウクはMisiaの「逢いたくていま」を完璧な日本語で大熱唱したかと思うと、驚きの衣装に着替えて再登場。2人の女性ダンサーを引っさげて、きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」を歌い出し、あまりに似合いすぎる女装姿に、ファンは大喜びだった。イェソンに選曲の理由を聞かれると、「バラードのコンサートに可愛く見せる曲があったらいいかなと思って」とまたまたチャーミングな答えにファンから黄色い声援があがる。
キュヒョンは、「2か月前からツイッターでみなさんにおすすめの曲を聞きました」といい、清水翔太の「桜」と、去年の秋に韓国でリリースされた人気曲で、どこか懐かしいメロディラインの「光化門で」を熱唱。最近格段に上手くなった日本語の勉強について語り、笑いを誘っていた。「最近僕は日本語を勉強しています。あの人はだれ? あの人はスミスさんです。どこの国の人?・・・(延々と続く)」。
ライヴ後半はアコースティックなステージも用意され、秦基博「ひまわりの約束」と清水翔太ver.「366日」の2曲が選ばれた。いすを3つ並べて脚を組んで座り、会場との距離が縮まるようなあったかい演出で、会場全体がアコースティックギターの音色と3人のハーモニーに酔いしれいていると、突然誰かの歌詞が飛ぶというアクシデントが! 「ちょっと歌に心酔していて、自分のパートだと思いませんでした(汗)」とイェソンが白状し、会場はまた爆笑に包まれた。
さらに3人の新曲や代表曲が続く。「2年前にK.R.Y.で録音して、今やっと聴いてもらえる」(リョウク)という「Loving You」のあとは、新曲のジャケット写真と同じキュヒョンが青、リョウクが赤、イェソンがグリーンのスーツ姿に着替え、新曲のカップリング曲「POINT OF NO RETURN」を披露。韓国語の新曲「ドロシー」、2年前、K.R.Y.として最後にリリースした日本語曲「Promise you」、そしてイェソンの伸びやかな声に特によく似合う「SKY」で本編は締めくくられた。ライトアップされた花道をまた再び3人で幸せそうに歩く姿はなんともまぶしく、キュヒョンやイェソンの肩にさりげなく手をかけるリョウクの姿も懐かしい光景だ。
興奮がピークに達したファンからの熱いアンコールの声援で、それまでのピシッとしたスタイルから一転、今回のツアーTシャツを着たカジュアルなスタイルで、「From U」で 3人が再び登場。「僕たちがファンの皆さんともう一度会えることを願って、そして一緒にいたいという気持ちを込めて準備しました」(キュヒョン)という、8月5日発売の新曲「JOIN HANDS」が初披露された。大切な人との再会がテーマのさわやかなミディアムバラードは、再始動を飾る3人にピッタリ。最後の1曲「The One I Love」をファンと一緒に熱唱し、感動のフィナーレを迎えた。
「これからもがんばるリョウクになりますので、たくさん応援してください」(リョウク)、「ぼくを一番応援してください(笑)みなさんは、オレのものだ!全部おれのものだ!」(キュヒョン)、「8月の僕の誕生日あたりにはSUPER JUNIORとして会えるかも!僕が踊っている姿も見せることができるんじゃないかな(キュヒョン失笑)」と最後までファンを喜ばせた。
SUPER JUNIOR−K.R.Y.は2年半の熟成期間を経て、より聴かせる上質で大人のライブを魅せてくれた。笑いあり、涙あり、胸キュンありの凱旋ライブは7月2日、さらに高まる期待と大きな余韻を残しながら、日本ガイシホール(愛知県名古屋市)で幕を下ろした。
●TEXT 田名部知子