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PHOTO:栗栖誠紀、TEXT:伴 牧子

大渡 亮のギターと伴 都美子のヴォーカルのみで過去シングル全28曲を再レコーディングしてきたプロジェクト[2 of Us]がついに完結する。完結盤となるのは2人だけで創りあげた特別な新曲。プロジェクトを通して感じた彼らの音楽の魅力、そしてDo As Infinityらしさとは何かを改めて話してもらった。

----まず、6月に東名阪を巡った“Do As Infinity Acoustic Tour 2016 -2 of Us -”は、初めてのアコースティック・セットでのツアーとなりましたが反響はいかがでしたか?

伴 都美子(以降・伴):Do Asとしては8ヶ月振りになるワンマンだったので、お久しぶりって感じで始まりまして。アコースティックだけど、後半立ち上がって盛り上がれる部分もあって楽しかったですね。普段のライヴとはまた違って、座ってゆったり曲を聴けたのが新鮮だったっていう声もいただきました。

----サポートメンバーも交えてのライヴだったんですよね。

大渡 亮(以降・大渡):お客さんたちに起承転結で楽しく観てもらえるように、タイトルに[2 of Us]と銘打っているけどサポートメンバーにも来てもらいました。僕たちMCでよくしゃべるから、ふたりだけで2時間半もライヴできないよねってのもあるけど(笑)。おかげで「この曲はリズムがほしいからアレンジを変えてバンドver.にしよう」とか「2人だけでやりたいから[2 of Us]のままで」とかメリハリのある構成にできたかな。

----このツアーでお披露目された「ハレルヤ/エレジー」は“[2 of Us]完結盤”となる作品ですが、どのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

大渡:過去のシングル28曲をふたりだけで演奏する[2 of Us]を経た、“いまのDo As Infinity”で作る新しい[2 of Us]をやってみたらどうかという提案があって。僕も久しく曲を作っていなかったので、自分が曲を提案させてもらうってことにちょっと悩みましたが、思いきって挑んでみた結果がこの2曲です。
例えば「エレジー」に関していうと、以前、僕ひとりでパフォーマンスする機会があって原曲みたいなものを演奏したことがあるんですが、その仕上がりにいささか疑問が残ってて。この機会にちゃんと作りなおして伴ちゃんに歌ってもらったらどうなるんだろうって興味が湧いたのが始まりかな。
やると決めたら、普段僕たちが作業しているスタジオにひたすら篭って、一度は完成している曲を改めて自分で調整し直しですよ。上流から下流に水を通していくように、ここで流れが塞き止まっているからこの辺りを削ったら水が流れやすくなるな…と、少しずつ大海に向けて進行するような、孤独で地道な作業ね。結果、原曲のメロディやコード進行はほとんど無くなりました。サビだけちょっと原曲に似てるかな?程度でぜーんぶ作り直し。結果、「エレジー」は僕の思う演歌に仕上がったと思います。

----演歌、ですか。

大渡:去年[2 of Us]を作っていたとき改めて思ったのが、僕は昭和歌謡とか演歌にすごく影響受けていたんだなあって。仮歌をラララ〜って歌ったのを聴いてたら自分たちの曲が「あずさ2号」みたいな哀愁ただようAm調の曲に聞こえて「あ、これ狩人じゃん!」って(笑) 今までの僕たちにそういったテイストの曲はなかったんだけど、“いまのDo As Infinity”としては、素直にこういう雰囲気を表現するのもいいんじゃないかな。

----“今年の春でもう5年が過ぎた…”といった歌詞が意味深なのですが、実際のエピソードから来ているんでしょうか?

大渡:これはね…パーソナルに見える内容のものをDo As Infinityとしてリリースしていいのかなって悩んだ時もあったんですが、それを含めて“いまのDo As Infinity”だろうということで決心しました。ホントはね、この数字は何年でも良かったんです。哀しい、やるせない感じを曲にしたためたいっていう思いが先にあって。この歌を聴く人が歌詞に込められた切ない想いを自分に当てはめて感じてくれたらいいなと。

伴:私は何の先入観もなく歌いました。「エレジー」は“哀歌”なので、聴いた人が自由に哀しい想いを想像してもらえればいいなって。

大渡:伴ちゃんに仮歌を歌ってもらった時点で大体の手触りがわかったから、後はお任せして僕は本レコーディングには立ち会わなかったんです。でも実際に上がってきた歌を聴いて、「こういう解釈で歌ってくれるんだ」っていう新鮮な驚きがありました。例えば“一瞬で”っていう歌詞があるんですけど、「天城越え」みたいな演歌的なコブシを入れて、泣きのフレーズにしている部分が特にグッときましたね。あれが曲のグレードを高めてくれてるなと。

伴:私は演歌とかまったく考えてなくて…「ん」は篭ってしまって聞き取りづらい音なので、言葉がちゃんと聞こえるように、テクニックのひとつとして歌っただけなんですけど(笑)

----もう一つの両A面「ハレルヤ」はいかがでしょう?

伴:「ハレルヤ」は、亮くんからとにかく明るい曲にしたいと事前に相談されて作詞に入りました。でも私ってば天邪鬼で。「明るい曲」って言われてもネガティヴなことばっかり考えちゃうタイプだから、第一稿は散々でしたね。そこからいろいろアドバイスをもらって第二稿、第三稿と何回もやり取りをして今の形になりました。

----この曲は[2 of Us]だけどバンドっぽいというか…ギター以外にドラムも入ってるんですね。

大渡:あのドラム、僕が叩いてるんです。[2 of Us]っていう言葉の解釈に、僕とスタッフの間でちょっと隔たりがありまして…。僕らふたりが宅録で演奏している雰囲気はあるから、この曲に関してはバンド・アレンジで良いよねって進めようとしたら、「[2 of Us]なんで、アコギとヴォーカルで作らないと」って。でもこの曲は最初からリズムありきで作っていた曲だったのでアコギ一本で表現するのは難しくて…。そこで閃いたのが「俺がドラムも叩けば[2 of Us]って言えるよね!」ってな強引な解釈(笑) 一緒にベースも弾いてみたんだけど、それだと普通の曲になっちゃったので、「リズムが足りないからドラムだけ載せました」っていうアンバランスな感じがいまの気分だよねってことで、あえてのベースレスにしました。

伴:何事にも塩梅って大事ですよね。ひと味足りなければ何かを足したり、引いたり。音楽も料理も同じだなって思いました。

大渡:今回、本当に実感したよね。あ、あとレコーディングで僕のドラマーとしての再現性の低さに驚愕しました(笑) 単純なリズムの部分は全然問題ないんだけど、タカタカチーン!っていうオカズの部分になると突っ込んだりモタついたりして、随分やり直しました。これでだいぶ懲りたので僕がドラムを叩くことはもう無いと思います! あ、でもライヴだったらやろうかな(笑)

----残りのカップリング2曲は「One or Eight」と「翼の計画」の[2 of Us]ver.ですね。

大渡:カップリングにはアルバムで人気のある曲を[2 of Us]で入れてみました。これは去年からの[2 of Us]と同じ流れでふたりで演奏するスタイルになっています。

伴:選曲は悩んだよね…。ファンの皆からの人気が高い「遠雷」をやろうっていう案もあったんだけど、原曲がフォーキーなピアノとアコギだけだったので、それじゃなーんにも変わんないじゃないかと。[2 of Us]にすることで、ガラッと雰囲気が変わった感じを楽しんでもらいたいと思ったので「遠雷」は人気曲だったけど外して。あと「あいのうた」っていう案もあったけど、色々と吟味した結果、今回はライヴには欠かせない2曲になりました。

大渡:「One or Eight」はいつもライヴ後半の元気づけでメンバー紹介とかも盛り込んだりする曲、片や「翼の計画」は前半のちょっと落ち着かせるところでじっくり聴かせることが多かった曲なんで。今回[2 of Us]にすることで、どちらも曲の良さが際立ったような気がします。

----では、最後にこれからの野望といいますか、今後やってみたいことを教えてください。

大渡:僕は久しぶりに外国に行きたいです。いま僕たちより後にデビューした若いバンドがどんどん海外に出て行ってるのを見て、いいなあって。僕らも10年位前に行ったことがありますが、演奏旅行で外国に行くって単純にエキサイティングなできごとだったので、またあちらに行って色々開拓できたらいいなと。あと、最近、先生について英語を勉強してるんですが、これからアジアやアメリカやヨーロッパのファンとのコミュニケーション・ツールとして必要だなと改めて感じてます。

伴:私は…野望らしい野望がないところが私たちらしいというか…。Do As Infinityらしさって何だろうっていう答えを探し求めるのが私たちの人生なんじゃないかな。ゆっくりでもいいから、大切に、“続ける音旅”をやっていけたらいいですね。