2020S坂本龍一
Ryuichi Sakamoto
Art Box Project 2020

壊すことから始まる。

もう30年以上前から、音楽作品自体が
アートであるようなものを作りたいと思っていた。
以前はいろいろなルールがあり出来なかったのが、ようやく出来るようになった。

坂本龍一

2020年、世界は変わった。

資本主義が終焉を迎える中で
人々の価値観は、大きく揺さぶられた。
疫病が生まれ、地球環境問題は加速した。
次々と浮き彫りとなる問題に、
誰もが「このままではいられない」と気づく。

人は自然の一部である、
と改めて気づかされた1年であり、
今こそ、人のあるべき姿に向き合い、
考え、選択する時である。

「この瞬間を記憶に残したい」

2020S 内容詳細

坂本龍一の想いを体現したコンプリートアートボックス『2020S』を、300点のみ完全限定生産で発売。
ボックスには坂本龍一が2020年に制作・発表した楽曲を計7枚のアナログレコードに収録。さらに、今作のテーマの一つである「記憶の断片」をもとに書き下ろした新曲も収録され、楽曲で使用された陶器の断片も合わせて同封される。

映画、ドラマ、CM、ドキュメンタリー、個展と、さまざまな作品に楽曲提供を行ってきたワールドワイドな音楽活動を集大成するとともに、2020年という激変の1年を象徴する記念すべき作品となった。

ボックスデザインには、作品世界を表す「凵(はこ)」をモチーフとした木製の特殊仕様を採用し、同封される陶器の断片がディスプレイできる構造となっている。坂本龍一が愛するアナログレコードとともに、見て・聴いて・触れる、という感覚を総動員しての体験を提供する。音楽作品であると同時に、アート作品でもあるという、坂本の長年の夢を実現した。

  • アーティスト名:坂本龍一
  • タイトル:2020S
  • 品番:RZZ1-77186〜92
    (12inch盤×5枚+7inch盤×2枚)
  • 販売価格:税抜200,000円
  • 発売日:2021/3/30

アナログ盤

◆12inch ホワイトヴァイナル仕様

Disc-1
Cinema
映画:蔡明亮監督作品『あなたの顔』(英題:Your Face) O.S.T.
LP - 12inch 33回転 計2枚組
収録分数[12トラック約67分]
ツァイ・ミンリャン(蔡明亮)監督の『你的臉』(英題:Your Face、邦題:あなたの顔)オリジナルサウンドトラック。第21 台北映画賞の最優秀音楽賞を受賞した作品。この映画は最優秀音楽賞の他に、最優秀監督賞、最優秀ドキュメンタリー賞の3部門を受賞している。
(坂本龍一コメント)
「このツァイ監督の作品はかなり抽象的、アヴァンギャルドな映画で、12人のお年寄りの顔のアップが順番に映され、それぞれ5〜6分ずつひとり語りをしていくというもの。みんな市井(しせい)のふつうの人びとで、身の上話をする人、ハーモニカを吹きだす人、なかには途中で眠っちゃうおじいちゃんもいて(笑)。そんな映画がドキュメンタリー賞、監督賞、それに音楽賞の3つを獲った。すごいことだと思いました」
http://www.zaziefilms.com/yourface/
Disc-2
Exhibition
「S/N for Lee Ufan v.2」李禹煥個展音楽
LP - 12inch 33回転 計2枚組
収録分数[4トラック約60分]
韓国生まれで、永らく日本を拠点に活躍してきた現代アーティスト、李禹煥(リー・ウーファン)。フランス・ロレーヌ地方メッツにある「ポンピドゥー・センター・メッツ」での、大規模な個展のために制作された音楽。坂本は李禹煥に直接、音楽の制作を頼まれた。“もの派”の主導者である李禹煥のための音楽だけに、坂本は”もの”の音に徹底的にこだわり、金属片やガラス、石、コーヒー豆など、数々の素材を元に、1時間の音響作品を作りあげた。「自分が大好きで尊敬するアーティストのために音を作るっていうのはね、本当に幸せなことで、望んでもなかなかできないことですから、もう嬉しい限りです。」とコメントしている。
Disc-3
Omnibus - Cinema / Fashion / NPO
LP - 12inch 33回転 計1枚
収録分数[4トラック約40分]
A面)
映画:コゴナダ監督作品「After Yang」 O.S.T.
1 / After Yang - Theme
2 / After Yang - Arpeggio
ロベール・ブレッソンやアルフレッド・ヒッチコックについてのドキュメンタリーを撮り、小津安二郎の多くの映画で脚本を手がけた野田高悟に因んでコゴナダと名乗る韓国系アメリカ人。映画『コロンバス』(2017)は、モダニズム建築の宝庫インディアナ州コロンバスを舞台に、建築の声に耳をすませる対照的な男女の逡巡と新たな一歩を描いた人間ドラマで大きな話題を呼んだ。「After Yang」はそのコゴナダの最新作。A24製作、コリン・ファレルが主演、作家アレキサンダー・ワインスタインの短編小説「Saying Goodbye to Yang(原題)」を映画化した。そのテーマ音楽を坂本が作曲した。

「BV」for Bottega Veneta Short Film
イタリアを代表する高級ラグジュアリーブランド、ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)。そのショートフィルム用に制作された音楽。
B面)
「Passage」for MOR(Music of Remembrance)
シアトルにあるMOR(Music of Remembrance)というNPO法人のために制作された音楽。MORはもともと音楽を通してホロコーストの追悼をするという趣旨で設立された団体だが、現在では宗教、民族、セクシャリティなどの問題で迫害を受けている世界中の人びとの支援を行なっている。
エジプト人の若い友人の体験に基く詩に弦楽四重奏を加えた作品。
「MORから曲を委嘱されたときに、まずまっさきに彼のことが思い浮かんで、君の体験を詩にしてくれと頼みました。文学的な表現はいらないから、君が体験した事実を簡潔に書き記してほしいと。それを英訳して、ぼくが仮で朗読してバックに弦楽四重奏を乗せたデモをまず作りました。」
https://www.musicofremembrance.org/

◆7inch 盤 ホワイトヴァイナル仕様

Disc-4
Omnibus - TV / CM
EP - 7inch 33回転 計1枚
収録分数[4トラック約11分]
A面)
ミニドラマ:「きょうの猫村さん」 主題歌
1 / 猫村さんのうた
2 / 猫村さんのうた - Instrumental -
テレビ東京のミニドラマ『きょうの猫村さん』(毎週水曜日 深夜0時52分から放送)の主題歌
「猫村さんのうた」(作詞:ユザーン・歌唱:猫村さん役の松重豊)。主題歌のインストバージョンも初公開。
https://www.tv-tokyo.co.jp/kyouno_nekomurasan/
B面)
「MUJI2020」
無印良品40周年、「掃除」をテーマとして取り上げ、無印良品メッセージ「気持ちいいのはなぜだろう。」を全世界同時に展開していく一環として制作された広告。そのCM音楽。
https://www.muji.com/jp/message/2020/ja/
「へいわってすてきだね」
NHK総合で放送された特別番組『戦後75年特集 戦争童画集〜75年目のショートストーリー〜』の番組内で、女優吉永小百合が小学生の書いた詩「へいわってすてきだね」を朗読するバックに使用するために作曲された。
http://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-08-21&ch=21&eid=09997&f=112
Disc-5
New Song
新曲書き下ろし
EP - 7inch 45回転 計1枚
収録分数[2トラック約10分]
A面)
「fragments, time」
B面)
「fragments, time -debris」
Ryuichi Sakamoto Art Box Project 2020を象徴する楽曲。坂本龍一が絵付けをした陶器のお皿を割り、割る音を採取して新曲を書き下ろす。断片は「陶片のオブジェ」としてBOXに同封される。本作品のアートディレクター緒方氏とのコラボレーション作品。

BOX 仕様 / 木製特殊仕様のはこ

日本の精神性の象徴である凵 (はこ)。
空(うつ)なる凵 (はこ)にエネルギーを吹き込むことで意味のある存在となる。

緒方氏がデザインした凵(はこ)には、2020年に制作・発表した坂本龍一の音楽や日々の記録、そして記憶の断片として「陶片のオブジェ」が収められている。また、厨子のように「陶片のオブジェ」を飾ることができる台のほか、手に取った人の想いが込められるように余白の空間も設けられている。作り手と受け手の記憶や想いが重なり合い、共存することで、凵(はこ)そのものが2020年を象徴する存在と化してゆく。

□スペック

材質:
[本体]桐(more treesの森がある宮崎県諸塚村産 認証材)
[付属陶片スタンド]真鍮(新潟燕三条)
サイズ:
w335mm × d335mm × h175mm
輸送箱サイズ:
約w465mm × d460mm × h350mm
重さ:
約12kg(輸送箱含む)

陶片のオブジェ

陶芸家の岡晋吾氏が製作した陶器の皿に坂本龍一が絵付けをし、その皿を割る音を採取して新曲を書き下ろす。この「陶片のオブジェ」は、その楽曲で使用された陶器の断片である。
土で作られる陶器は、割ることで再び自然へと還る。陶器を割るという行為には、坂本の自然回帰への想いが込められている。また、陶器の断片は2020年という歴史的1年の「記憶の断片」であり、作り手と受け手とを繋ぐ存在でもある。
*角が尖っている部分がございますので、お取り扱いにご注意ください。

冊子

プロローグ

福岡伸一・坂本龍一 往復書簡
生物学者 福岡伸一氏との対話

二〇二〇 日詩 坂本龍一