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11月18日と19日の2日間、“絢香LIVE TOUR 2013 FORTUNE COOKIE〜なにが出るかな!?〜”の日本武道館公演が行なわれた。このツアーは、9月に発売された絢香初のカバー・アルバム『遊音倶楽部〜1st grade〜』を携えて行なわれたもので、アルバムに収録されている全11曲はもちろん、事前にオフィシャル・ホームページで募集したリクエスト上位5曲などを披露。いわゆるオリジナル・アルバムのツアーとはひと味もふた味も違う、スペシャルな内容でのライブが繰り広げられた。 武道館の初日、18日のライブには10歳以下の子供たちから70代以上の方まで、幅広い世代のファンが駆けつけた。学校のチャイムからスタートし、1曲目は絢香のオリジナル曲「Hello」だ。オープニングにふさわしい華やかさと躍動感。伸びやかな絢香の声は、オーディエンスの耳と心を一瞬で奪ってしまった。 - 「歩いて帰ろう」(斉藤和義)では会場が一体となっての手拍子が巻き起こり、コール&レスポンスもバッチリ!絢香も笑顔で会場を見渡している。 「“遊音倶楽部”のライブへようこそ!私にとって初のカバー・アルバムのコンセプトは「学校」。私が選んだ名曲を教科書に、ひたすら楽しみながら音楽を学ぶ。そんな楽しい学校にある、私が部長を務めるクラブが”遊音倶楽部”なんです。今日はとにかく盛りだくさん。次はなにが出るかな!?ってワクワクしながら楽しんでいって下さい!」
- カバー・アルバム『遊音倶楽部〜1st grade〜』では比較的男性アーティストの曲が多くカバーされていたが、たとえばスピッツの「ロビンソン」やRADWIMPSの「タユタ」などを絢香が歌うと、男でも女でもない、どこかユニセックスな表情が引き出されるから不思議だ。また、荒井由実の「やさしさに包まれたなら」や小田和正の「たしかなこと」では、女性としての柔らかさや強さを軸にしながらも、瑞々しさと包容力がミックスされた年齢不詳の歌声に包まれるような感覚もあった。同じレシピで作っても決して同じ味の料理にならないように、同じ楽曲を歌ってもその仕上がりは全然違う。単なる技術としての歌の上手さや表現力ではなく、絢香にしか出せない「味わい」のようなものをあらためて感じられたのも、今回のツアーならではの収穫だ。
- ライブ中盤では、「空と君のあいだに」(中島みゆき)、「瞳をとじて」(平井 堅)の2曲が小編成でじっくりと披露された。オリジナル曲の「はじまりのとき」、「ツヨク想う」では静かな熱と迫力を携えた圧倒的なボーカルでオーディエンスを魅了。その後一気にダンスビートへとなだれ込み、「Movin‘on without you」(宇多田ヒカル)でフロアを盛り上るという大胆な流れはとても面白かった。バンドメンバーのソロを挟み、衣装をチェンジした絢香を包み込んだイントロは「三日月」。まさに「なにが出るかな!?」状態の選曲に、客席はワクワクどころかドキドキさせられっぱなしだ。
- 「ライブは私にとって何よりも大切で、何よりも大好きで、いつもみんなの笑顔からたくさんパワーをもらっています。感謝やなぁと思いながら歌っていました。本当にありがとう!次の曲は、みんなの笑顔にパワーをもらってなかったら生まれてなかった曲です」
そう語った絢香は、復帰という大きな目標を達成した去年のツアー後、抜け殻のようになっていた日々の中で突然降ってきたという「beautiful」を披露した。「みんなからのパワーにお返しするような気持ちで歌いたい」と言ったその言葉どおり、ひとりひとりの顔を見つめるように、語りかけるように、力強く歌う姿がとても印象的だった。
「まだまだ行けるー!?武道館ー!」 後半戦は「LA・LA・LA LOVE SONG」(久保田利伸)から「シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜」(Mr.Children)、そしてコブクロとのコラボで話題となった「WINDING ROAD」というアッパーなナンバーで飛ばしていく。大好きな曲を、大好きな場所で歌える喜びが伝わってきて、なんだかこっちまで嬉しくなるような本編のラストだった。 -
アンコールでは、16歳の時に書いたというデビュー曲「I believe」が弾き語りで歌われた。リクエスト上位5曲に入っていたので歌われることはわかっていたが、この曲に込められた彼女の決意にあらためて震える思いがしたのは私だけではないはず。バンドメンバーを呼び込んでもう1曲、この日最後に歌われたのは、10月に配信限定で発表された現時点での最新曲「ありがとうの輪」だ。「“ありがとう”は言っても言われても優しい気持ちになるし、心が温かくなる。何回言っても言いきれへんけど、ほんまにありがとう!」と絢香。銀の紙吹雪が美しく舞い散る中、心を込めて歌い終えた絢香に向けて客席からたくさんの拍手と「ありがとう」が寄せられ、ライブは感動に包まれながら幕を閉じた。
TEXT:山田邦子 - 【SET LIST】
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1.Hello
2.歩いて帰ろう
3.ロビンソン
4.やさしさに包まれたなら
5.真夏の果実
6.たしかなこと -
7.夢を味方に
8.タユタ
9.空と君のあい
だに
10.瞳をとじて 11.はじまりのとき
12.ツヨク想う -
13.Movin'on without you
14.三日月
15.beautiful
16.LA・LA・LA LOVE SONG
17.シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜
18.WINDING ROAD -
EN-1.I believe
EN-2.ありがとうの輪 -
【編集後記】
カバー楽曲はもちろん、ところどころに絢香のオリジナル楽曲がちりばめられた今回のセットリスト。オリジナル楽曲のイントロが流れると自然と会場から拍手が。
絢香とコーラス、バックバンド、そして、会場のオーディエンスが一体となってこのライヴという一緒に過ごしている時間を楽しんでいる雰囲気が印象的でした♪
「WINDING ROAD」では、「LALALA〜」のパートで手拍子が会場中に響き渡り、思わず涙腺が緩むほどの感動がありました☆
その模様はぜひライヴDVD/Blu-rayにて体感してみてくださいね。