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浜崎あゆみといえば、自身がライヴの演出を手掛け、毎回、大掛かりなセットと驚くような仕掛けでファンを魅了してきた。今回はデビュー15周年を記念したライヴとあって、いつも以上に演出にも力が入っていたに違いない。また、事前にファンからリクエストを募り、その上位50曲の中からセットリストを構成。必然的にファンが“本当に聴きたい曲”ばかりが歌われることになる。 - 開演前からayuコールが響き、これから始まる“ayuワールド”への期待感が高まる中、スクリーンに映像が流れカウントダウン! そしてゼロを合図にダンサーやパフォーマーたちが登場。彼らは古代風のお面をかぶり、天井から垂れ下がる紐にくくられている。まるで操り人形のようだが、音楽に合わせて紐が切れ、1人、また1人と自由の身に。その上空から、十字架に貼り付けられてayuが登場した。
- アカペラで「A Song for ××」を1フレーズ歌うと、「行くぜ! 代々木!」と声を張り上げ、ライヴはスタート。力強い歌声が観衆を包み込み、その歌声に合わせるようにピンク色のサイリウムが振られ、それが美しい光の波を作っていった。
- オペラを観ているような壮大さを感じながら、2曲目「Memorial address」では、赤いサーチライトが華やかにayuを照らす。片膝をついて熱唱したり、髪を振り乱しながら歌う姿は、全身全霊を歌に捧げるディーヴァそのもの。ライヴは始まったばかりだが、彼女の一挙手一投足に観衆は魅入っていた。
- いつものように“よっちゃん”こと野村義男がギターを務めるバンドメンバーたちが紹介された後、ピンクのロングコートを羽織ったayuが、スタンドマイクで「poker face」をかわいらしい振り付けで歌う。続く「Fly high」「HONEY」ではダンサーが青ブレザー姿の男子学生となり、スクールスタイルに変身。学園ミュージカル風の明るく楽しい雰囲気を作っていった。黒ぶちメガネをかけたayuの姿には、あまりのキュートさに思わず会場から「かわいいー!」という歓声が!! しかし余韻に浸る暇なく、ダンサー&パフォーマーによるショータイムが続く。
- アクロバティックなパフォーマンスに息をのんだ後は、白いドレス姿のayuが歌う「」に心を打たれてしまう。十字架やステンドグラスの映像により、神秘的な雰囲気が醸し出されていた。
- DJタイムやパフォーマーによる空中歩行のようなパフォーマンスを間に挟みながら、ライヴはさらに熱を帯びていく。 「行くぜ! 代々木!」「まだまだ行くよ〜!」と観衆を煽り、それに応えてジャンプをしたり、高く上げた腕を左右に振るファンたち。誰もが、ayuとの一体感を感じたに違いない。
- 後半戦に入り、「JEWEL」では幻想的な世界観に誰もが息をのんだ。ayuが入った透明ケースの中には何と水が!! 空中に吊るされると、下からは水を通して彼女の姿が見えるのだが、黄色や紫のライトが光の反射によって彼女をより美しく映し出していた。ダンサーたちの踊りも実に優雅で、それはまるで妖精の舞いと言っても過言ではない。
- そしてこの日、会場内にどよめきが起きたのが、終盤の「Wake me up」の時。鎖で縛られたダンサーが、ayuと入れ替わるというイリュージョンが披露された。あまりにも一瞬の出来事で、誰もが驚きを隠せないでいた。そんな観客の動揺を鎮めるかのように、静かなイントロが流れ始める。上位50曲に入っていない「Tell All」がここで歌われた。この曲はデビュー15周年記念曲の1つでメッセージ性が強い。いつもファンのことを考えているayuだからこそ生まれた曲であり、ファンもayuの言葉を受け止めようと必死に耳を傾けていた。そして本編は、15年を振り返る映像が流れた後、「Voyage」で幕が閉じられた。
- アンコールでは、Tシャツにデニムのショートパンツとラフな服装で登場。「Sunrise 〜LOVE is ALL〜」では、「タオルの準備をお願いします!」と左手にタオルを持ち、「みんな〜、回すよ〜!」と一緒にグルグルグル!! 楽しそうにタオルを回しながら歌い続けた。「Boys & Girls」では感極まり「代々木最高!!」を叫び、いちばんの盛り上がりを見せた。続く「Who...」では、ピンクや緑のハート型の風船が降ってきて会場を賑わし、歌い終わると、ダンサーやバンドメンバーがステージを去っていく。最後に残ったayuは、マイクを置くと「ありがとうございました〜!」と生声で感謝の言葉を贈った。 しかしこれで終わりではなかった。イントロが流れると、ayuがステージに表れた。ダブルアンコールの曲は、共感できる歌詞が印象的な「MY ALL」。歌いながらステージの右へ、左へと、客席に挨拶をすると、「みんなの声を聞かせて〜!」と一緒に大合唱。その瞬間、メッセージが書かれた銀のテープが一斉に会場に降り注ぎ、大歓声が会場にこだました。
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感極まり涙する人、枯れた声で一生懸命声援を贈り続ける人、そんな大切なファンに対してayuは深々と頭を下げて挨拶をし、今度は本当にステージを後にした――。
洗練された演出の数々。様々なシーンが思い浮かび、その時の感動がよみがえる。しばらくは余韻を楽しめそうな最高のエンターテインメントを堪能できた。
TEXT:オフィスキューブ - 【SET LIST】
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00. interlude
01. A Song for ××
02. Memorial address
03. Massive Trance Station
04. poker face
05. Fly high
06. HONEY -
07. SHOW TIME
08.
09. No way to say
10. You & Me
11. BLUE BIRD
12. innervisions
13. JEWEL -
14. HEAVEN
15. ever free
16. Wake me up
17. Tell All
18. SURREAL
〜 evolution 〜 SURREAL
19. Voyage -
[encore]
20. teddy bear
21. Sunrise 〜LOVE is ALL〜
22. Boys & Girls
23. Who...
[double encore]
24. MY ALL -
編集後記
公演ラスト、ayuがステージに一人残って挨拶。満面の笑顔から急に真顔になり、ゆっくりと、そして慈しむように右端から左端まで・・・その景色を目に焼き付けるように見渡すayu。そして、あの大きな会場に地声で響き渡らせる「ありがとうございました!」。
ずっと変わらないそのスタンスに、感動を覚えました。
愛する人のため、走り続けるayuをこれからも応援したいと、改めて心から思ったSHOWなのでした☆