X JAPAN が2014年9月30日(火)、日産スタジアム公演以来4年ぶりとなる日本でのワンマンライブを横浜アリーナでおこなった。用意された2日間で2万2千枚のプラチナ・チケットは1秒でソールドアウト。X JAPANにとって横浜アリーナ公演は、1991年に実施された『Violence In Jealousy Tour』ツアー以来23年振りということでも話題となった。
1989年のメジャーデビューから25周年というメモリアルイヤーを迎え、初の全世界ベスト『THE WORLD〜X JAPAN 初の全世界ベスト〜』をリリースしたX JAPAN。さらなる注目は10月11日(土)に、アメリカ・ニューヨークにある名門ホール、マディソン・スクエア・ガーデン(MSG)公演を控えていることだ。横浜アリーナ2DAYS公演は、その“前哨戦”として位置付けられているのが、X JAPANならではのスケールのデカさと言えるだろう。実際、常にスタジアムやドーム規模でライブをやり続けられてきたことから、横浜アリーナの大きさがライブハウスに感じられるのがX JAPANの偉大さだ。
そもそも、Xというバンドは、1982年に結成して1989年にメジャーデビュー。海外進出を目指して、1992年にニューヨークにて海外デビューの記者会見を実施している。しかし、当時は様々な事情で実現することなく、その後1997年にはTOSHIが脱退し、解散することとなった。
解散後、YOSHIKIとHIDEは、2000年にX JAPANの再結成を予定していたが、1998年にHIDEが不慮の事故で死去。バンドは大きなショックを受け、解散のまま休眠状態となる。その後2007年に、YOSHIKIとTOSHIが再会することとなりバンドを再結成。当初からの夢であり目標であった、ワールドツアーを実施することで海外進出の夢を実現していく。しかし、2010年に久しぶりの共演が実った初期メンバーであるベーシストTAIJIが2011年に亡くなっている。メンバーの死の痛みを抱えながら、いくつもの様々な困難を乗り越え、世界16カ国で開催されたワールドツアーは、各国の熱狂的なファンの歓迎を受け大成功することとなる。X JAPANは、ジャンルや国境を越えて日本にとどまらず、爆発的なパフォーマンスで世界を魅了してきたのだ。
横浜アリーナ公演に話を戻そう。当日は19時開演のところ、15分が過ぎた19時15分。場内が暗転し、オープニングSEで「MIRACLE」が鳴り響き、会場のざわめきがピークとなった瞬間、YOSHIKIが神々しく淡い光とともにステージにあらわれた。ドラムのイントロが印象的な「JADE」が奏でられ、フロントにメンバーが登場しオーディエンス大興奮。演奏の決め所で、炎があがるアグレッシヴな演出など、スタートからクライマックスを迎える異様な熱気に会場は包まれた。
ヴォーカルTOSHIによる第一声は「ついにX JAPANが帰ってきたぜ〜!」。このMCは、23年前のツアーと同一のものだった(※当時は“JAPAN”は付かなかった)。
YOSHIKIによるMCとともに紹介された、ギタリストSUGIZOによる新曲「BENEATH THE SKIN」は、ヘヴィロックなリフが力強い海外志向なナンバー。YOSHIKI作詞という、かつてない組み合わせによる新曲だ。さらに、8月に新宿アルタ前でゲリラ・ライブをおこなった際にX JAPANとして披露した、映画『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』の主題歌としてYOSHIKIソロ楽曲としても発表されたナンバー「HERO」を、X JAPANヴァージョンとしてプレイされた。未だ発表されない、新作アルバムへの期待が高まるばかりだ。
「FOREVER LOVE」では、X時代の写真やHIDE、TAIJIの映像をスクリーンに映し出していた。メンバーの死を抱えながらも、5人の現メンバーと亡くなられた2人のメンバー、7人あわせて夢の実現に向かって突き進むという熱い気持ち、信念を感じられた。YOSHIKIによる「HIDEとTAIJIにも聞かせてやれ〜!」の叫びが、すべてを物語っていたと思う。
当日は「RUSTY NAIL」、「SILENT JEALOUSY」、「KURENAI」、「X」など、代表曲が惜しげもなく繰り広げられ、ラスト「ENDLESS RAIN」ではオーディエンスを巻き込んだ大合唱、そしてX JAPANでしか生み出せないナンバーであり、発売当時30分の超大作として話題となった「ART OF LIFE」をダブルアンコールで披露し大団円を迎えた。
X JAPANの快進撃はまだまだ続いていく。圧倒されるオリジナルな世界観と、衝撃的なパフォーマンス。マディソン・スクエア・ガーデン公演など、新たな伝説を刻む、X JAPAN奇跡の瞬間に注目して欲しい。
- MIRACLE(INTRO):ライブのオープニングとしてお馴染みとなった、YOSHIKIソロアルバム『Yoshiki Melodies Classics』に収録された壮大なクラシカル・ナンバー。
- JADE:初演は2009年の「X JAPAN WORLD TOUR Live in TOKYO 〜攻撃続行中〜」。当初、最新アルバム(発売未定)オープニングナンバーとして製作された作品。
- RUSTY NAIL:1994年7月10日にリリースした10thシングル。イントロの煌びやかなシンセ・サウンドが印象的な『WEEK END』の第2章として生み出されたナンバー。
- SILENT JEALOUSY:1991年9月11日にリリースした6thシングル。紅白でも披露されたバンドを代表する代表曲であり、当日のライブでの完成度の高さに驚かされた。
- BENEATH THE SKIN:SUGIZO作曲、YOSHIKI作詞による今回の公演で初披露された重厚なリフが印象的なヘヴィロックな新曲。HEATHによるスラップが目立つ新境地。
- PATA+HEATH SOLO:アクティブなギターソロを奏でるPATAと、ステージを歩きながらグルーヴィなサウンドを生み出すHEATHによるベースプレイによる掛け合い。
- DRAIN:打ち込みトラックであることからYOSHIKIはステージにあらわれず、TOSHI、PATA、HEATHの3名で繰り広げていくインダストリアル・ロック・チューン。
- SUGIZO VIOLIN SOLO:加工せずにシンプルなサウンドでのバイオリン・ソロを、LUNA SEAでのライブ以上にたっぷりとプレイ。後半、YOSHIKIもピアノで絡んでくる。
- KURENAI:1989年9月1日にリリースした3rdシングル。メジャー第一弾シングルであり、現在もライブで必ず歌い継いでいるメロディックでハードコアな代表曲。
- HERO:YOSHIKIのソロとして発表された映画『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』主題歌のXヴァージョン。ストレートなリズムに、美麗なるメロディがのる。
- BORN TO BE FREE:2010年『X JAPAN WORLD TOUR Live in YOKOHAMA 超強行突破 七転八起 〜世界に向かって〜』以降にプレイされている疾走感溢れる新曲。
- PIANO SOLO:アンコール後、ステージを練り歩きバラをひとしきりオーディエンスに投げ回った後、「白鳥の湖」や、X時代の名曲「Unfinished」をピアノで魂込めてプレイ。
- DRUM SOLO:チャイコフスキー「弦楽セレナード」が流れ、YOSHIKIはドラムへ。途中、ドラムからピアノへ移動し、「エリーゼのために」、「月光」のプレイを挟む。
- FOREVER LOVE:1996年7月8日にリリースした14thシングル。HIDEとTAIJIの在りし日の映像をバックに、会場中のオーディエンスがすすり泣くなか演奏。
- I.V.:2008年1月23日に配信曲としてリリース。映画『ソウ4』のタイアップナンバーとして制作された、ヘヴィロックながらもメロディックな世界デビュー曲。
- X:X初期の1985年に生み出されたメロディックコアな代表曲。「Xジャンプ」が定番だが、東京ドームでは揺れすぎることから禁止とされているナンバー。