和楽器バンドとは一体何か？　それは和楽器とロック、ネット文化とライブ会場、クール・ジャパンと伝統芸能を結びつけ、既成のルールをぶち破って突き進む音楽パフォーマンス集団だ。2014年4月のデビューアルバム『ボカロ三昧』は、動画サイトで人気のボカロ曲カヴァー作で、オリコンウィークリー初登場5位を記録。だがメンバーの野心はそこにとどまらず、8月にDVD/Blu-rayの形態でリリースされた新曲「華火」は、ヴォーカル・鈴華ゆう子によるオリジナルで、実写と合成を組み合わせたRPGゲームのような華やかな世界観を披露。そこからさらにスケールアップした2015年第一弾ミュージック・ビデオが、TVアニメ『戦国無双』とがっちりタッグを組んだ「戦-ikusa-/なでしこ桜」だ。

鈴華ゆう子(ヴォーカル) 「「戦-ikusa-」は亜沙の作詞作曲で、『戦国無双』にぴったりのロックテイストの強い楽曲です。和楽器バンドという名前だけで聴くとビックリするかもしれないけど、とてもカッコよくできてると思います」
亜沙(B)  「サビのメロディで突き抜ける感じがほしいと思って作りました。最初はシンプルでわかりやすい曲が、みんなでアレンジしていくうちにどんどんカッコよくなったんですよ」
町屋(G)  「和楽器バンドは楽器の数が多いので、小難しいアレンジになりがちなんですけど。すごく聴きやすくてポップにできた曲ですね」

ハードかつポップに疾走する「戦-ikusa-」がTVアニメ『戦国無双』オープニング曲/ゲーム『戦国無双4-�U』テーマソングで、壮大な和風ロックバラードの「なでしこ桜」がアニメ『戦国無双』エンディング曲。和楽器バンドの二つの顔を一気に楽しめるのが、この2曲入りミュージック・ビデオのポイントだ。

鈴華ゆう子 「「なでしこ桜」の主人公は“くノ一”で、歌詞は女性目線で書いてます。女性の強い気持ちだったり、淡い恋心だったり、いろいろ感じてもらえると思います」
いぶくろ聖志(筝) 「筝としては2曲とも“弾き過ぎない”のが僕のテーマ。特に「なでしこ桜」は、Aメロ以外にはほぼ入れてないんですよ。その代わりにハードなギターが聴きどころで、和楽器バンドの新しいバラードができたんじゃないか？と思います」
神永大輔(尺八) 「2曲とも和楽器バンドらしい曲ですけど、僕の中では対極のところにあるんです。「戦-ikusa-」は爽快感で、「なでしこ桜」は広がりがある感じなので、尺八のフレーズはすごく考えて作りました」

さらに、何と言っても注目すべきは映像。男性メンバーが刀をふるって見事な殺陣(たて)を披露する「戦-ikusa-」と、鈴華ゆう子と蜷川べにが艶やかな和装を披露する「なでしこ桜」と、2本とも“一度見ただけじゃわからない見どころ満載です!”(鈴華ゆう子)と、自画自賛もうなずける傑作映像だ。

いぶくろ聖志  「「戦-ikusa-」は神永さんと僕、町屋さんと亜沙さん、山葵くんと黒流さんが対決してます。山葵が本気で斬りかかって、黒流さんが本気で怒るという(笑)」
山葵(Dr)  「しかも真冬の夜の九十九里浜で撮影したんですよ。寒いので、勝手に表情が厳しくなってる。それがこの曲にマッチして、いい表情が撮れたと思います(笑)」
蜷川べに(津軽三味線)  「私も男子枠で殺陣がやりたかったんですけど(笑)。「なでしこ桜」は婚礼衣装のような立派な衣装で、すごく重いんですけど、頑張りました」
鈴華ゆう子  「女性陣は、「戦-ikusa-」は黒と赤の攻撃的な衣装で、「なでしこ桜」はピンクと白の衣装。髪型も全然違います。最近はコスプレをしてくれるファンの方もいるので、新しいものをどんどん見せていきたいと思ってます」

そして1月7日に渋谷公会堂で行われたワンマンライブで発表された今後のスケジュールは、“WORLD PROJECT第一弾・台湾ワンマンライブ”“秋の全国ツアー”“フルアルバム制作”の三つ。デビューからわずか1年、和楽器バンドが日本全国へ、そして世界へと飛躍する瞬間はもう目の前だ。

鈴華ゆう子  「Official SNSにも、海外からのアクセスが非常に多いですし、台湾でのライブは本当に楽しみですね。全国ツアーも、今までは遠くから会いに来てくださった方もいたんですけど、今年は自分たちからいろんな場所へ行こうと思っているので、和楽器バンドと一緒に動いてくれる人をもっと増やしたいです。アルバムは制作を始めたばかりなので、内容はまだ定かではないんですが。初めてのオリジナル･フル・アルバムになると思っています。1枚目の『ボカロ三昧』が、ありがたいことにたくさんの人に聴いていただいたんですけど、私の印象としては、ボカロ曲を知らずに和楽器バンドに入ってきている方も最近は多いと思っているので。新しいものを見せられるように試行錯誤している最中なので、楽しみにしていただきたいです。ほかに準備していることはたくさんあるので、早く言いたくて仕方ないんですが、飽きさせない1年になると思います。よろしくお願いします!」