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大塚 愛さんが2年9カ月ぶりのシングル「私」を発表しました。最新曲では「今の自分を大切に生きていく」メッセージが歌われます。「マス=大衆」が見えにくくなったと言われる時代だからこそ「好きなことを形にしていくことが大事」と語る大塚さん。シンガー・ソングライターとして、音楽への向き合い方について聞きました。
出典:朝日新聞社「withnews」
何度も繰り返される「私」
1月にはじまったドラマ『嫌われる勇気』の主題歌として生まれた「私」。ドラマはアドラーの心理学を描いたベストセラーを原案に、それを刑事ドラマに仕立てたという異色の設定です。
主題歌の話をもらったのは11月でした。「今までの追い詰められの中で三本の指に入る」という短い制作期間だったそうです。これまでにない集中力でのぞんだ大塚さん。大事にしたのは「自分の弱さを認める勇気」でした。
「届けたかったのは、欠けている部分を受け入れる強さが必要なんだってことです」
歌詞には何度も“私”が繰り返されます。
「何事も向き合うこと以外に選択肢ってない。向き合わないと積極的な人生って、できないじゃないですか」
不安な私、ぶれているかもしれない私…そんな私を受け止めた上で、今できることをやる。聴き終わった後に漂うのは、前向きなメッセージです。
「光を感じたいなって。その光が自分を照らしているんだ。見ている人がいるんだって」
「今って、大衆って誰だろう?って思うんです」
デビューから14年。音楽との向き合い方も少しずつ変化してきたそうです。
「大衆が見えやすかった時代があるならば、そんな時代に私はデビューした気がします。でも、今って、大衆って誰だろう?って思うんです」
当たり前になった音楽配信サービス【iTunes Music Store】がスタートしたのは、大塚さんのデビューと同じ2003年でした。その後、音楽をめぐる環境は激変しました。最近では【Spotify】などネット経由のストリーミングで聴くサービスも浸透しています。
ファンの関心は細分化し、好きなアーティストの情報は、とことん追いかけられる時代。ネットがなかった頃には手に入れようもなかった曲が簡単に聴けてしまいます。
その結果、みんなが知っている曲としてのミリオンセラーは少なくなりました。
そんな音楽との距離感が変わった今の状況を、大塚さんは前向きに捉えています。
「どんどんバラバラになっている。でも、それは当たり前だなって思うんです。みんな見ているものが違う。いっぱい色んな人がいて、好みがそろう方が謎じゃないですか」
大手レーベルに所属するシンガー・ソングライターとしては難しい時代かもしれません。今、大事にしていることを聞きました。
「見えないところを狙って書くよりも、自分が大事だなと思うこと、好きなことを形にしていく方を選んでいきたい」
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