左から
山北早紀、芹澤 優、茜屋日海夏
若井友希、久保田未夢、澁谷梓希
2012年2月、エイベックス・グループと大手声優プロダクションである81プロデュースがタッグを組んで開催した「アニソン・ヴォーカルオーディション」より、声優アーティストを目指す6人の合格者で結成。2012年11月、テレビアニメEDテーマ「Color」で、アニソン・ボーカル・アイドルユニット”i☆Ris”としてデビュー!
今回、1stアニバーサリーシングルということで、デビューしてから1年を経て、成長したことは何ですか?
山北「良い意味で柔らかくなったと感じます。わたしはリーダーなので、最初は“ちゃんとやらなきゃ”という気持ちが強くて、必要以上に固くなってしまって、自分の魅力が引き出せないところがあったのですが、今はギャグとかも言えちゃうし、本来の自分の魅力が出せるようになったかなという風に思います」
芹澤「そう思う! リーダーっぽくなったと思うよ」
山北「え! 本当に!?」
若井「なんか、作りすぎず、自然とまとめるようになった(笑)」
山北「今思えばすごい“鋼鉄の仮面”を被ったみたいな感じだったと思うけど、それが取れたという気がしてる」
芹澤「わたしは、デビュー前はグループを組むという事すら考えてなかったから、自分自身をどう輝かせるかってことばかり考えてたんだけど、1年みんなと活動して、i☆Risというアイドルと声優をやるという新しいプロジェクトを、“グループとしてみんなに見てほしい! 好きになってほしい!”と思うようになりました」
茜屋「ライヴに対する意識の持ち方が変わったかな。回数を重ねて来たのもあるんですけど、今年の夏は“IDOL NATION”や“アニメロサマーライヴ”といった、大きいステージにも立たせていただいて、1回1回のステージに集中するようになったなと」
年間100回くらいライヴをやって来たから、物怖じしなくなりましたよね。
久保田「それは凄くあるかもしれない」
若井「根拠なき自信があるんだよね、みんな(笑)」
山北「音源トラブルとかあったりして、曲が止まった事もあったりしたんですけど、そう言う時も最後までアカペラで歌って乗り越えてきましたから(笑)。生で歌ってるって事に対して自信を持ってやって来たよね」
ライヴに対して、特に思い入れがあるところはありますか?
芹澤「ライヴって、歌がうまい事をアピールするわけじゃなく、そのとき感じた感情を生の声に乗せられるところが良いなと思うので、今の気持ちを歌にして伝えるということを、わたしは意識していますね」
若井「その日しか来られないファンの方もいると思うから、そのイベントやライヴの瞬間を楽しんでいただきたいので、i☆Risとお客さんとで、笑顔になれる楽しい空間を作れるように心がけています」
皆さんは今、ラジオのレギュラー番組などもされていますが、学んだ事ってありますか?
久保田「ラジオで毎週生放送やらせていただいているんですが、生だからこそのトラブルというか、想定外のところに話題が飛ぶので、その場の判断がとても求められるんです。なのでトーク力が格段にあがりました。i☆Risは、最初の方は本当にトーク力が皆無で(笑)、なんとかしないとねってみんなで反省もしていたんですけど・・・」
澁谷「会話に対して意識的にというか、ちゃんとアンサーを返せるようになったというのが大きいですね」
そういうひとつひとつ、ひとりひとりの想いや経験が複合的に重なり合って、今のi☆Risにフィードバックされた1年だったんではないかなと思います。
声優としても歌手としても、タレントとしても、色んな人や世に向けて、元気を届けるアイドルとして大きく進歩出来たんではないでしょうか。
山北「ありがとうございます!」
それを受けて、今回のシングルのお話を。4thシングルであり、1stアニバーサリーシングルでもある今回ですが、まずは「幻想曲WONDERLAND」について。個人的な感想をお伝えさせていただくと、めっちゃくちゃ良かったです!
若井「わー! ありがとうございます!」
タイトル通りファンタジックなメロディでありながらも、転調につぐ転調で魅せるミュージカル調で、今まで以上にコンセプトがはっきりしているし、何よりも歌とお芝居の両面が混在していて、まさに皆さんのこの“表現者”としての一年が集約された曲ではないでしょうか。
若井「i☆Risの曲って、毎回わたしたちの感情が歌とリンクするようなかたちになっているんですけど、今回は“一人じゃできない事も6人だったら乗り越えられるよ”という、i☆Risが培って来た結束力が感じられるので、そこを聴いてもらいたいです」
久保田「わたしは今回セリフを言わせていただいており、実はデモにはセリフが入ってなかったんですけど、いきなりレコーディングで何か言ってくれと言われてレコーディング室に入れられ(笑)。歌の中でお芝居をするって言うのも、i☆Risならではだと思いますし、ミュージック・ビデオではみんなが糸に吊られて人形みたいに踊る場面もあったりして、全部楽しめる曲だなと思います」
澁谷「本当にi☆Risの新境地ですね。振り付けもバレエのような感じで、とても苦戦したところもあるんですけど、ミュージック・ビデオは凄く綺麗にでき上がったので、楽しんでいただければなと思います」
山北「1年のまとめと、2年目へのステップアップをしっかりと表現するという事をメンバーもスタッフも意識した曲ですね。歌詞の中で“嫌いで好きな、みんながいれば怖くない”って部分があるんですけど、この“嫌いで好きな”ってフレーズにとても共感しちゃって。嫌いじゃないんですけど(笑)、1年間活動していると“嫌い”と思う事もちょっとあったりするんです。でも、1年前より“好き”って気持ちが勝っていて、その感情がすごく的確に表現されているなって。あと、今回初めてアニメタイアップじゃない曲ないんですよ」
久保田「そうだね」
山北「だから、今までにないくらいi☆Risのパーソナルな部分に触れた曲だという想いが強いですね」
i☆Risの曲って、1stシングル「Color」収録の「らむねサンセット」や3rdシングルの「§Rainbow」もなんですけど、歌詞が一見迷っていたり悩んだりしているようで、実はめちゃくちゃ前向きですよね。負けるもんか!っていうヒロイン的な強い気持ちが常に前に出ている気がします。
芹澤「誰もが持っている葛藤を、i☆Risが代表するというとちょっとおこがましいかもしれませんけど、i☆Risが頑張ってる姿を見せる事で、みんなに伝えて行きたいという気持ちがあるので、誰が聴いても勇気がわいてくると思うんです!」
山北「i☆Risというグループ名は“虹”から取っていて、虹は雨の後にかかるものじゃないですか。雨のように辛い事があっても、その先には必ず陽が射して虹がかかるんです。だから、そういう光と陰を併せ持ちながらも、常に前向きな曲やパフォーマンスができるんではないかと。後付けかもしれませんが(笑)、そう考えるとグループ名がどんどん深く思えて来て、i☆Risって凄いなって思いますね」
僕はこの曲は『オズの魔法使い』じゃないかなと思ったんですよ。脳のないカカシも、心のないブリキの木こりも、臆病なライオンも、ドロシーと出会ってオズに会う旅に出て、その先で知恵と心と勇気を手に入れて、最後に「Over The Rainbow」を歌って大団円を迎える。この曲を聴いた人たちにとってドロシーだったり、次への “虹の掛け橋”たる存在がi☆Risなんじゃないかなと。
茜屋「わたしは今回、レコーディングとダンスにとても苦戦して、毎日悔しくて悔しくて泣いていたんですけど、でき上がったものがすごく良かったんですよ(と、泣く)。“ああ、短期間でわたしこんなに成長できた”と思って。だから、頑張ればちゃんとできるんだよってことを、みんなに伝えたいです」
久保田「デビューから丁度1年のシングルで、あの時できなかった事ができるようになっていて、同じ時間でもできる振り幅がすごく増えていて、この先のi☆Risの可能性を感じられる曲になっていると思います」
今回トリプルA面ということで、若井さんの歌う「Last Moment」、澁谷さんの歌う「EDGE OF HEAVEN」も収録されていますが、この2曲はぐっと大人な雰囲気になるじゃないですか。お二人ともi☆Risとはまた違った一面をフィーチャーしたかたちになりますが、歌ってみた感想や聴きどころを教えていただけますか。
若井「今回は歌詞のひとつひとつに関しても、色んな感情や表現を込めるよう、細かく指導していただいたんですよ。最初はしっとりしているんですけど、後半に行くにつれメロディも歌詞も声の張りも力強くなっていくので、若井の“まさかの大人の部分”を皆さんに堪能していただけたらなと」
澁谷さんは、大分男前な印象でした(笑)。
澁谷「女前の男前(笑)。ロックバラードで、サビでどーんと力強く突き抜けて行くところが気持ちいいんですけど、歌詞もメッセージ性が強くて、色んな感情に当てはまる曲なので、聴いたときの気持ちを後押しできると思います。レコーディングはいつも他のメンバーがブースにいたりするんですけど、この曲は本当にわたし一人だけで録ったんです。その日がすごい雨の日で。雨に濡れながら一人でたたずんでいる気持ちで録りました(笑)」
芹澤「わたしは(若井)友希ちゃんのソロ曲の「Destiny Sky」が元々大好きだったんですが、この1年でまた表現力がぐっと伸びたなあと感じました。とてもよく聴いてます(笑)」
久保田「2人がソロの曲を歌うときの表情が「幻想曲WONDELAND」の時と全然違うんですよ! そういうギャップを楽しめるという意味ではお得なシングルです(笑)」
茜屋「わたしはずっちゃん(澁谷)の最初、低音で始まるところが、彼女の声の良さがすごく出てていいなと思いました」
芹澤「イントロはじまった時、“あ!”って思うよね」
茜屋「そうそう! 聴きにいっちゃう!」
山北「友希ちゃんは本当に要所要所の表現力がめっちゃ上がったよね。ずっちゃんは、わたし結構初期から見てるんですけど(笑)、すごいアガり症でいつも一人で歌う時とか“どうしようどうしようどうしよう”ってなっていたのが、この歌を聴いたら“ずっちゃん、頼もしくなったなあ”と思うようになりました(笑)」
澁谷「ある日を境に強くなったというか。わたし、歌と一緒に強くなれるって思ってるんですけど、この曲で体現できたのかなと思っています」
まさに、グループとしても個人としても、今まで以上にi☆Ris自身がフィーチャーされた作品ということですね。これを踏まえて、次なるステージへと進化して行くと思うのですが、この先の野望はありますか?
山北「声優とアイドルを両方全力でやるという事です。今はまだ偏っている部分もあるんですが、声優としてもちゃんとしたお仕事を確立して行き、アイドルとしてはさらに上のステージを目指して行きたいですね」
芹澤「i☆Risを高めつつ、その中でもそれぞれが声優のお仕事をやって、その先でたくさんの人にi☆Risを知っていただければと。アイドルと声優の両立ってすごく大変なんですけど、「幻想曲WONDERLAND」って曲ができて、改めてそれを全力でやってやる!って気概に溢れています。だって“嫌いで好きな、みんながいれば怖くない”んですから!」
山北「誰もやったことのない色んな事にたくさん挑戦して“虹”になっちゃいたいです!」
お気に入りの音楽
あにこん!/V.A
澁谷:特定の音楽を聴くというより、いろんな音楽を聴きたいのでコンピレーションアルバムをよく聴くのですが、『あにこん!』はi☆Risも収録されているのでお気に入りです。コンピレーションって、聴いた事のない音楽も含めて、様々なジャンルや声質の美味しいところ取り出来るので大好きです。
STAR LIGHT/光GENJI
山北:「WONDERLAND」を制作中に、無限の可能性を感じて(笑)、その後にこの曲を聴くと“あ! 本当だ! シャボンのようにフリーダムだな”って。光GENJIさんも当時はローラースケートという今までにないスタイルだったじゃないですか。i☆Risも誰もやった事のないことをやるって目標があるので共感しちゃいます。
お気に入りの映画
劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ
若井:小さい時に観て、感動が焼きついた作品です。1000年の眠りから覚めたジラーチというポケモンが、七日間だけサトシたちと過ごす中で、マサトくんとの七日間限定の絆に心打たれます。
サマーウォーズ
久保田:家族の絆と友情と恋愛が全部描かれていて、ネットと現実がリンクしているところも、ネットが大好きなわたしからすると“こんな世界に生まれていたらとてつもなくしあわせだったんだろうな”と(笑)。親戚が少ないというのもあって、たくさんの親戚が集まっているのにも憧れます。
お気に入りの本
心霊探偵八雲/神永学
茜屋:人間的な感情や絆を描いた本が特に好きで、推理小説って事件をロジカルに解決するものだと思っていたのでちょっと敬遠していたのですが、この作品は推理小説でありながら、家族の絆だったり、恋愛感情もちゃんと描かれていて、これがきっかけで推理小説にハマったのでお気に入りです。
アルバイト探偵(アイ)/大沢在昌
芹澤:主人公の高校生・隆ちゃんが、秘密探偵をしているお父さんの手伝いをするんですけど、その隆ちゃんがいつも女の子とかをはべらしているチャラい感じなのに、事件になるとお父さんも舌を巻くくらいの勢いで解決しちゃうんです。そのギャップがすごく良いです。
この日はイベントの合間を縫っての取材でしたが、
元気いっぱいの笑顔とパワー全開のトークで応えてくれました。
デビューからの1年をちゃんと総括できる記事にしたかったので、
いくらか突っ込んだ質問を投げかけたりもしたのですが、
自分たちのこれまでの足跡をちゃん確かめるように、真摯に応えてくれました。
それもあって、とても読み応えのある特集記事にできたのではないかと思います!