アニソンシンガーの登竜門『アニマックス 全日本アニソングランプリ』の第７回大会で10,320組の頂点に立った小林竜之。昨年のグランプリ受賞から１０ヶ月。満を持して、デビューシングル「ZERO / Endless NOVA performed by AG7」がリリースされる。『最強銀河 究極（アルティメット）ゼロ 〜バトルスピリッツ〜』のオープニングソングという華々しいデビューを飾った小林竜之にアニソンシンガーになるまでの軌跡、そして夢を叶えた新人アーティストの素直な想いを聞いた。

―幼少の頃からアーティストに憧れ、その夢に向かっている人は数えきれないほどいるだろう。小林竜之もそのひとりだった。しかし、彼が周りと違ったのは「アニメの主題歌を歌いたい」という明確な目的があったことだ。

「もともと、小さい頃からアニメやコミック、ゲームが大好きだったんですけど、はっきりとアニソンシンガーになりたいと思ったのは小学４年生の頃。当時、大好きだったアニメ『封神演義』のオープニングを歌っていた米倉千尋さんの歌声や楽曲を聴いて、なんて素晴らしいのだろうと感銘を受けたのがきっかけですね。それから、アニソンのCDを集めるようになり、自然と自分もこの世界で生きていきたいと思うようになったんです」

―しかし、当時は今ほどアニソンシンガーが認知されていない時代。思春期ゆえにアニメへの想いを封印した時代があったという。

「中学から高校時代は周りがスポーツ少年ばかりで、アニメのことを一緒に語れる友人が誰もいなかったんです。そうなるとなかなか言えなくなってしまって…。アニメの話題を口にしたら嫌がられるんじゃないかと思っていました」

―そんな小林が再び、夢へ向かって走り始めたのが大学生の頃。

「大学に進学して、仲良くなった友人の家に遊びに行ったら部屋中フィギュアやアニソンだらけ。封印していた気持ちが爆発しましたね（笑）。それから、その友人と夜な夜なアニメを見たり、友人を通じてアニメ友達ができたり。改めてアニソンシンガーへの夢が再燃したのがこの時期です。それまでも、作詞作曲をしたり、ライヴを行ったり、オーディションを受けたりと個人的に活動はしていたんですが、なかなかアニメに繋がる結果が出なくて。そんな時に知ったのが『全日本アニソングランプリ』でした」

―しかし、第６回大会に出場するも、あえなく予選敗退。たが、この結果が彼の闘志に火をつけた。

「大会で自分が歌っている姿をVTRで見て自分に足りないものが分かったんです。緊張のあまり顔も強張り、歌で伝えたいことがまったく伝わっていなかった。アニソンはアニメの世界観、ファンの方、そして自分の気持ちや個性、すべてを含めて伝えなくてはいけません。その難しさを知ると共に、この大きな課題を乗り越えることが目標となりました。そこから『アニソングランプリ』で優勝することだけを目標に１年間レッスンに励んだんです。その結果が報われて第７回大会でグランプリを受賞することができました」

―デビューシングル収録曲の「ZERO」は骨太なバンドサウンドが印象的なロックナンバー。いままでミディアムテンポやバラードナンバーを得意としてきた小林にとって大きな挑戦となった。

「正直、楽曲を聴いた瞬間“自分に歌えるのか…”と不安になりました。それに、『最強銀河 究極（アルティメット）ゼロ 〜バトルスピリッツ〜』のオープニング主題歌に決まっていましたから、作品に寄り添う歌にしなければとも考え試行錯誤の毎日。オープニングの絵コンテを見せていただいて作品のイメージを掴んだり、いままで自分がチャレンジしてこなかった歌い方や声の出し方を意識したり。激しく、熱い雰囲気を伝えられるよう言葉のアクセントにも気を付けましたね。でも、Dメロでバラードの表現を加えたことで、小林竜之の新しい一面と得意とする部分を凝縮した１曲に仕上がったと思います」

そして、同時に収録されている「Endless NOVA」はアニソングランプリ歴代優勝者７人がユニット（=AG7）を組んだ疾走感溢れるポジティブソングだ。

「７人とも個性ある歌声ですが、決してぶつからず、それぞれを引き立てている。歌っている自分でも、そのまとまり具合に驚きましたね。僕としては、歴代グランプリの方と一緒に肩を並べて歌うことを目標としていましたから、それが叶って幸せな時間でした。そして、歌っている全員が口を揃えて絶賛したのが畑亜貴さんによる歌詞。夢に向かって走っている僕たち７人、それぞれ境遇は違うけれど、各々に当てはまる言葉が綴られていて。もちろん、僕たちだけでなく何かに向かって走り続けている人には、きっと心に刺さり共感できる歌詞だと思います」

タイトルに込められた「ZERO」からの一歩を踏み出した小林竜之。ゼロから走り始め、どこまで成長していくのか。今後が楽しみのアニソンシンガーが誕生した。